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金融政策の目的や具体的な手法とは。中央銀行の役割も解説

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金融政策はどのような目的で行われるものなのでしょうか?日本の中央銀行である日本銀行が実施する、金融政策の狙いを解説します。また金融政策で行われる『政策金利操作』『預金準備率操作』『公開市場操作』についても見ていきましょう。

金融政策とは

経済を成り行き任せにすると、物の値段が過度に上がるインフレ状態が進行し過ぎたり、反対に物価が下がるデフレ状態に傾き過ぎたりと、混乱が生じるかもしれません。

そこで物価の安定を実現するため、日本銀行では前年比2%の消費者物価上昇を目標とした金融政策を実施しています。

物価の安定を目的とした中央銀行の政策

金融政策とは、日本の中央銀行である日銀が行う政策です。日銀が『通貨の番人』と呼ばれるのは、 通貨として利用される銀行券(紙幣、貨幣)を発行する、国内で唯一の「発券銀行」であり、通貨価値の安定を図る金融政策をつかさどり、物価や金融システムの安定に目を配る役割を担うためです。

加えて『銀行の銀行』として、私たちが日常的に利用する市中の銀行が、預金したりお金を借りたりする場所でもあります。

中央銀行のこのような役割は、金融政策を実施する上で欠かせないものなのです。

金融政策の目標値

物価は上がり過ぎても下がり過ぎても、経済の状態が悪化しかねません。

日銀は、程よく経済が循環する状態を維持し、企業の成長と国民の暮らしの向上に必要な物価上昇率の目標を前年比『2%』と定めており、これをできるだけ早いタイミングで実現することを目指しています。

代表的な金融政策は金利調整


日銀が実施する金融政策の主要なものは通貨供給量の調整です。金融引き締め局面では市中に循環するお金の量を減らし、金融緩和局面では循環するお金の量を増やします。これにより、経済状態はどのように変化するのでしょうか?

金融緩和で世の中に出回るお金を増やす

経済循環が悪化した局面で実施するのが『金融緩和』政策で、お金の量を増やすことで、景気の回復を目指します。

例えば市場にある国債を買い上げることで、国債の市中金利を下げ、市中に出回るお金の供給を増やします。これにより金融機関は企業や個人への融資に利用する資金を低利で調達することが可能となり、結果として金融機関が融資する際の金利が引き下げられることになります。

このことで、企業の設備投資や個人の住宅購入が進み、景気を上向かせる方向に働くでしょう。物価が上昇する局面では、現金資産だけを保有していると、資産価値が徐々に目減りすることになります。資産価値を効果的に維持・向上させるために、資産を増やすことが期待できる『投資』に取り組むことが、インフレ対策を行う上で大切です。

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金融引き締めで過剰なインフレを抑える

お金の量が増えることで、経済は活性化され景気回復局面に入っていきます。しかしこの段階でインフレが過熱すると、経済の先行きに不安が予想され、株価の低下といった影響が出るかもしれません。

そこで、過度なな物価上昇に抑えるために、日銀では、市場で循環するお金を減らす『金融引き締め』政策を実施することになります。金融緩和とは逆に、日銀が国債を売却しお金を回収することで市場のお金の量が減少するとともに市場の国債価格が低下、結果的に市中金利の上昇を引き起こす金融政策です。

これにより、金融機関は資金を調達するコストが増加するため、企業や個人へ融資をする際の金利を上げます。金利が高いと借入を控えるケースが増え、市場を循環するお金の量がさらに減る仕組みです。

市中のお金の量が減れば、経済を冷やす効果がうまれ、結果としてインフレ率を抑えることが可能との考え方です。

金利水準はどのようにコントロールする?


金融政策では金利水準をコントロールするために、具体的にどのような操作が行われるのでしょうか。日銀が行う3種類のコントロール方法を解説します。

政策金利操作

『マネタリーベース』のコントロールによって行われる金融緩和や金融引き締めを、政策金利操作といいます。マネタリーベースとは、日本銀行が世の中に直接的に供給するお金のことで、市場に出回っているお金と『日銀当座預金』の合計額です。

かつて政策金利操作に用いられていた『公定歩合』は、現在ではその役割を終え、『基準割引率および基準貸付率』という呼び方に変更されています。

その後は『無担保コール翌日物金利(オーバーナイトレート)』が操作目標として用いられていましたが、マネタリーベースへ変更されています。現在は消費者物価の前年比上昇率2%を目標に、マネタリーベースを増加中です。

預金準備率操作

対象となる金融機関は『準備預金制度』によって、日銀へ一定比率の預金を預け入れるよう義務付けられています。この預け入れる比率が『準備率』です。

かつては準備率を上げ下げすることで、金融緩和や金融引き締めが行われていました。しかし準備率の変更による金融政策は、1991年10月に行われたのが最後です。

その後はオーバーナイトレートが適切な水準になるよう促すために、法律で定められている準備預金額の維持を目指すことに重きが置かれるようになります。

ただし2000年代に入ると、日銀の潤沢な資金供給により、準備率を超える預け入れ(超過準備)が当たり前の状態が続いています。このように『預金準備率操作』で、日銀当座預金残高を安定させる役割を期待するのは難しいのが実情です。

公開市場操作

公開市場操作とは、日銀が金融市場における取引(オペレーション)を実施し、金利水準をコントロールする金融政策です。これには金融緩和時に利用される『買いオペ』と、金融引き締め時に用いられる『売りオペ』の2種類の操作があります。

買いオペでは債券や手形を日銀が買い取り、その対価としてお金を供給する操作を通じて市場に流通するお金の量が増え金利水準の引き下げにつながります。売りオペは反対に債券や手形を売却しお金を回収する操作となるため、市場のお金の量が減り金利水準が引き上げられる取引です。

金融政策の代表的な手法であると同時に、景況感をダイレクトに伝える役割もあります。

まとめ

金融政策とは、物価の安定を目的に日銀が行う政策です。インフレもデフレも、進行し過ぎると経済に悪影響を及ぼしかねません。そこで、程よく経済を成長させるために、日銀は消費者物価の前年比上昇率2%を政策目標としています。

そのために実施するのが、政策金利操作・預金準備率操作・公開市場操作といった金融政策です。これらによって市場に流通するお金の量を増減させることでし、金利水準をコントロールしています。

日銀による金融政策が有効に機能すれば、物価は年2%ずつ上がることになります。こうしたインフレの状況に備え、預貯金より高い利率で資産運用できる可能性のある投資も検討するのがよいでしょう。

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