個人向け国債とは?注目度が高まっている理由とメリット・デメリット、向いている人の特徴を解説
公開日:
近年の金利上昇を背景に、「個人向け国債」への注目度が高まっています。預貯金に近い安心感がありながら、比較的有利な金利が期待できるのが魅力です。個人向け国債にはどのような特徴があり、どんな人に向いているのでしょうか。
この記事では、個人向け国債の基礎知識や注目される理由、メリット・デメリット、向いている人の特徴までをわかりやすく解説します。
コンテンツ
個人向け国債の基礎知識

個人向け国債を理解するには、まず「国債とは何か」を押さえておくことが大切です。商品概要と種類、注目度が高まっている背景などを順番に見ていきましょう。
個人向け国債とは
そもそも国債とは、国が発行する債券です。そして、日本国が発行する国債のうち、原則として個人のみが購入できるものを「個人向け国債」といいます。
個人向け国債を購入すると、投資家は国にお金を貸すことになります。その見返りとして定期的に利子を受け取ることができ、満期時には元本が返還される仕組みです。
個人向け国債は、日本国が発行体であることから信用力が高く、比較的安全性の高い投資先と位置付けられています。
なお、令和8年12月募集分からは、国債の安定保有層の拡大を図る観点から、販売対象が一部の法人などにも拡大されます。それに伴い、商品名が「個人向け国債プラス」へ変更される予定です。
個人向け国債は3つのタイプがある
個人向け国債は、満期や金利が異なる「変動10年」「固定5年」「固定3年」の3種類があります。
| 変動10年 | 固定5年 | 固定3年 | |
| 満期 | 10年 | 5年 | 3年 |
| 金利タイプ | 変動金利 | 固定金利 | 固定金利 |
| 金利設定方法 | 基準金利(10年国債の 平均落札利回り)×0.66 |
基準金利(5年国債の 想定利回り)-0.05% |
基準金利(3年国債の 想定利回り)-0.03% |
| 金利の下限 | 0.05% | ||
| 利子の受け取り | 年2回(半年ごと) | ||
| 購入単価 (販売価格) |
最低1万円から1万円単位(額面金額100円につき100円) | ||
| 償還金額 | 額面金額100円につき100円(中途換金時も同じ) | ||
| 中途換金 | 発行後1年経過すればいつでも可能 ※直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685が差し引かれる |
||
出典)財務省「個人向け国債」
変動10年は変動金利のため、半年ごとに適用金利が見直されます。一方、固定金利の固定5年・3年は、発行時の金利が満期まで適用されます。
例えば、今後金利が上昇すると予想される場合は変動10年、金利が下がる可能性が高いと考えるなら固定5年・3年を選ぶ、といった判断があるでしょう。
個人向け国債の注目度が高まっている理由
個人向け国債が注目されている主な理由は、長期金利の上昇です。長らく超低金利が続いた日本では、元本保証商品で利息を得ることが難しい状況でした。しかし、近年の金利上昇に伴い、以前よりも魅力的な利率が提示されるケースが増えています。
個人向け国債の適用利率も上昇傾向にあり、これまでよりも多くの利息を受け取ることができます。2026年2月募集分の適用利率(税引前)は、変動10年(初回分)が1.48%、固定5年が1.66%、固定3年が1.39%です。
特に変動10年は半年ごとに金利の見直しが行われるため、金利上昇局面で恩恵を受けやすい特徴があります。
関連記事)長期金利とは?上がると生活はどうなる?短期金利との違いや住宅ローンへの影響を解説
定期預金との違い
個人向け国債と定期預金の共通点は、元本保証で安全性が高いことです。個人向け国債は国が元本の返還と利子の支払いを保証しているため、信用度が高いとされています。また、定期預金は1金融機関あたり元本1,000万円までとその利息が預金保険制度で保護されます。
一方で、以下のような違いもあります。
- 利率は個人向け国債のほうが高め
- 個人向け国債は原則1年経過するまで換金できないが、定期預金はいつでも解約可能
「当面使わない資金は個人向け国債」「すぐに使う可能性がある資金は定期預金」といった使い分けを検討する必要があるでしょう。
関連記事)定期預金の中途解約はペナルティがある?デメリットと損しないための対策を紹介
個人向け国債のメリット

ここでは、個人向け国債の代表的なメリットを詳しく見ていきます。
元本割れがない
個人向け国債の最大の魅力は、国が元本と利払いを保証していることです。株式や投資信託のように価格変動によって資産が減るリスクがないため、投資初心者でも取り組みやすい商品といえます。
特に「大切な資金を減らしたくない」「退職金の一部を安全に運用したい」といったニーズと相性がよいでしょう。
最低金利0.05%が保証されている
個人向け国債には、最低金利0.05%が設定されています。市場金利が大きく低下した場合でも、この水準を下回ることはありません。仮に以前のような低金利環境になったとしても、最低金利が保証される点はメリットといえます。
1万円から購入できる
個人向け国債は1万円から1万円単位で購入できるため、まとまった資金がなくても手軽に始められます。まずは少額から試してみて、慣れてきたら金額を増やすのも選択肢です。資産形成の一環として、毎月1万円ずつ積み立てるように購入するのもよいでしょう。
発行から1年経過後は中途換金が可能
個人向け国債は満期まで保有するのが基本ですが、発行から1年が経過すれば中途換金が可能です。万が一急な出費が発生した場合は、解約して必要な資金を準備できます。
個人向け国債のデメリット

個人向け国債は先ほど紹介したメリットがある一方で、注意しておきたい点もあります。購入前に、デメリットを把握しておくことが重要です。
利回りは低め
個人向け国債は安全性を重視した商品であるため、株式や投資信託、不動産投資のような高い利回りは期待できません。資産を大きく増やすというよりも、「守りながら少し増やす」性格の商品だと理解しておきましょう。
インフレに弱い
インフレとは、物価が継続して上昇している状態のことです。インフレ時に資産の目減りを防ぐには、物価上昇率を上回る利回りで運用しなくてはなりません。しかし、個人向け国債は高い利回りが期待できないため、インフレに弱い特徴があります。
仮に物価が年2%上昇しているのに利回りが1%であれば、実質的には資産が減っているのと同じ状態といえます。
関連記事)「インフレ」「デフレ」ってなに?物価との関係やインフレ時に始めやすい資産運用をわかりやすく解説
解約時に利息調整がある
個人向け国債を中途換金する場合、「直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685」が差し引かれます。大きく元本が減るわけではありませんが、想定していた利息より少なくなる可能性があります。
個人向け国債は、満期まで保有することを前提に、しばらく使う予定がない資金で購入することが基本といえるでしょう。
個人向け国債の購入方法

個人向け国債は、証券会社や銀行、郵便局などの取扱金融機関で購入できます。基本的な流れは以下の通りです。
- 取扱金融機関で口座を開設する
- 募集期間中に購入を申し込む
- 口座から購入代金が引き落とされる
口座開設時には本人確認書類(個人番号カードなど)や印鑑が必要になる場合があります。手続き自体は難しくなく、ネット証券ならオンラインで完結することも可能です。
個人向け国債はどんな人におすすめ?

投資では、目的や考え方に合った商品を選ぶことが重要です。ここでは、個人向け国債が向いている人・向いていない人の特徴を紹介します。
個人向け国債が向いている人
次のような人には、個人向け国債が有力な選択肢となるでしょう。
- 元本割れを避けたい人
- 預貯金より少しでも有利に運用したい人
- しばらく使う予定がないお金を安全に運用したい人
特に1,000万円を超える資金を預ける場合、預金保険制度の対象外となる部分が生じます。国が元本と利払いを保証する個人向け国債は安心感があり、1,000万円超の大口資金の預け先として活用しやすいでしょう。
個人向け国債が向いていない人
一方で、次のような人は、別の投資商品のほうが適している可能性があります。
- 高い利回りを求める人
- インフレ対策を重視する人
- 1年以内に使う予定の資金を運用する人
資産を大きく増やしたい場合は、株式や投資信託など、比較的高い利回りが期待できる投資先も組み合わせる必要があるでしょう。ただし、価格変動による元本割れリスクがあるため、分散投資でリスク低減を図ることが重要です。
また、個人向け国債は、原則として発行から1年経過しないと中途換金できない点にも注意しましょう。
関連記事)分散投資とは?リスク軽減が期待できる仕組みと投資信託の選び方を紹介
まとめ
個人向け国債は、日本国が発行する信用度の高い債券であり、安全性を重視する人に向いています。元本割れがなく、少額から始められるため、投資初心者でも取り組みやすいでしょう。
一方で、株式や投資信託のような大きなリターンは期待しにくく、インフレ時には実質的な資産価値が目減りする可能性もあります。特徴を正しく理解し、「守る資産」として活用することが大切です。
もしより高い利回りを目指すのであれば、分散投資の一環として利回りファンドなどを検討するのも一案です。「トラノコPLUS」では、個人向け国債や定期預金よりも高い利回りが期待できる利回りファンドを取り扱っています。
安全性と収益性のバランスを意識しながら、自分の目的に合った投資先や資産配分を考えていきましょう。









