トラの知恵

ライフプランのシミュレーション方法を解説。将来必要なお金を「見える化」しよう

公開日:

「ライフプラン」という言葉をご存じでしょうか?将来のお金のことを考える際に、どこかで見聞きしたことがある方もいるかもしれません。今回はライフプランとはどのようなものか、その目的や必要性と、ライフプランのシミュレーション方法について解説します。

ライフプランは人生の設計図である

ライフプランは、夢や目標など思い描く未来を実現するための具体的な計画のことをいいます。いわば「人生の設計図」ともいえるでしょう。理想のライフプランを実現するためには、将来どのような生活を送りたいか、どのような働き方をしたいか、どのような老後を過ごしたいかといった将来実現したいことを明確にしておくことが大切です。

ライフプランを立てる期間に決まりはありませんが、簡単でもよいので老後までのプランを考えてみましょう。人生の中で特にお金がかかるのが「住宅・教育・老後」の3つといわれています。まとまったお金を準備するのは時間がかかりやすいので、早いうちから老後まで見据えたプランを立てることが重要です。

直近5年くらいの近い将来のイメージはできても、それ以上先の遠い未来のことは想像しにくいかもしれません。しかし早い段階でライフプランを考えておくことで、その目標に向かってゆっくり準備できるので、理想の未来を実現できる可能性は高くなるでしょう。老後まで見据えたライフプランが想像できない場合は、例えば20代・30代の方なら「定年退職するまで」「子どもが独立するまで」というように、想像しやすい時点までのライフプランを考えるところから始めるのも一案です。

ライフプランシミュレーションの必要性

ライフプランシミュレーションは、ライフプランに応じた必要なお金を「見える化」するためのものです。ライフプランを実現するためには、将来の収支をシミュレーションしておくことが大切です。やりたいことを叶えるためにどのくらいのお金が必要か明確になれば、それに向けた具体的な行動が取りやすくなります。いつまでに何をすべきかわかれば、ライフプランを実現するためのモチベーションにも繋がるでしょう。

ライフプランをシミュレーションすると、将来必要なお金が準備できず、「今のままでは夢や目標が達成できない」「定年後早い段階で貯蓄が底をついてしまう」といった結果が出ることもあります。しかしそのような場合でも、それを改善するための対策を取ればよいので、結果だけを見て落ち込む必要はありません。

ライフプランシミュレーションの結果を改善させるためには、「収入を増やすために転職や副業を検討する」「家計の支出を見直す」「資産運用を始める」「ライフプランを見直す」といった方法があります。現状の課題を見つけて具体的な対策を取るためにも、ライフプランシミュレーションの必要性は高いといえるでしょう。

ライフプラン表を作って必要なお金をシミュレーションしよう

ライフプラン表とは一般的に「ライフイベント表」と「キャッシュフロー表」の総称をいいます。

ライフイベント表とは将来の節目となる出来事(ライフイベント)を年表にして、ライフイベントに必要なお金を見積もったものです。キャッシュフロー表とは、現在の家計の状況とライフイベント表をもとに、将来の収支と貯蓄額を時系列で表したものです。

以下の方法でライフプラン表を作成して、将来必要なお金を「見える化」しましょう。

 STEP1. 将来の夢や目標を洗い出す

ライフイベント表を作る前に、まずは将来の夢や目標を洗い出してみましょう。具体的なイメージが沸かない場合は、以下のような代表的なライフイベントを参考に考えてみるとよいでしょう。

● 代表的なライフイベントの例

  • 就職
  • 転職
  • 結婚
  • 出産、育児
  • マイホームの購入、リフォーム
  • 子どもの進学
  • 自動車の購入、買い替え
  • 定年退職
  • 旅行

ご家族がいる方は、自分以外の家族の夢や目標もリストアップしておくことも大切です。家族で力を合わせてライフプランを達成するために、将来の夢や目標を共有・相談したうえでSTEP2に進むことをおすすめします。

STEP 2. ライフイベント表を作る

STEP1で洗い出した夢や目標をライフイベント表に書き込みましょう。それぞれのライフイベントで必要なお金の目安も合わせて記入します。

ライフイベント表に必要な主な項目は以下のとおりです。

  • 年(西暦など)
  • 家族の年齢
  • ライフイベント
  • 必要なお金

あくまでも一例ですが、30歳会社員夫婦のご家庭なら以下のようなライフイベント表が考えられます。

家族の年齢 ライフイベント 必要なお金
本人 配偶者 子ども
20×× 31 31 0 配偶者の出産、育休
20×× 35 35 4 マイホーム購入 3,000万円
20×× 37 37 6 車の買い替え 200万円
20×× 38 38 7 子どもの小学校入学 10万円
20×× 41 41 10 海外旅行 50万円
20×× 44 44 13 子どもの中学校入学 10万円
20×× 47 47 16 子どもの高校入学 20万円
20×× 50 50 19 子どもの大学入学 30万円
20×× 54 54 23 子どもの大学卒業・独立
20×× 60 60 29 配偶者の定年退職
20×× 65 65 34 本人の定年退職












日本FP協会のウェブサイトにライフイベント表や次で紹介するキャッシュフロー表のテンプレートが公開されているので、こちらを活用してみるのもよいでしょう。

参考:日本FP協会 便利ツールで家計をチェック

STEP 3. キャッシュフロー表を作る

ライフイベント表が完成したら、最後に年単位でキャッシュフロー表を作ります。以下の見本を参考に、ある程度長期的な表を完成させてみてください。

● キャッシュフロー表の見本

経過年数 現在 1 2 3 4 5 6 7
20×× 20×× 20×× 20×× 20×× 20×× 20×× 20××
年齢 本人 30 31 32 33 34 35 36 37
配偶者 30 31 32 33 34 35 36 37
子ども -1 0 1 2 3 4 5 6
ライフイベント 出産、育休 マイホーム購入 車の買い替え 子どもの小学校入学
収入(A) 本人
配偶者
一時的な収入
支出(B) 基本生活費
住宅関連費
車関連費用
教育費
保険料
その他支出
一時的な支出
年間収支
(A-B)
資産残高
(貯蓄などの金融資産)※

※今年の資産残高=前年の資産残高+今年の年間収支

キャッシュフロー表を作る際は、以下のポイントに注意しながら作成しましょう。

【ポイント1】ライフイベント表からの転記
上表の「ライフイベント」と「一時的な支出」の欄には、ライフイベント表に記載した「ライフイベント」と「必要なお金」のそれぞれを転記しましょう。ライフイベント表に記載した内容を抜け漏れなくキャッシュフロー表に反映させることが重要です。

【ポイント2】収入と支出の計画
収入と支出は現在の収支を把握したうえで計画をたてる必要があります。支出は家計簿ノートや家計簿アプリを活用して、現状を知るところから始めましょう。また、毎月または毎年発生しないような支出(例:年会費、冠婚葬祭費、旅行・帰省費、家具・家電の買い替え費用など)も漏れなく見積もっておくことが大切です。住宅関連費(家賃や住宅ローンなど)、車関連費用(車検代や税金など)、保険料はライフステージによって変わることも多いので、基本生活費と分けておくと計算しやすくなります。

収入は今後の働き方や昇給などによっても変化します。例えば配偶者が育休を取る場合は一時的に収入が減少するので、その期間は育児休業手当金など実際にもらえる金額を反映させましょう。昇進や勤続年数によって昇給する場合は、目安となる金額を反映させるとより現実的です。退職金などで一時的な収入がある場合も、忘れずに記入しておきましょう。

また、定年後の主な収入源は公的年金になるご家庭が一般的です。将来の年金額は厚生労働省の「公的年金シミュレーター」で試算できるので、見積もった金額をキャッシュフロー表に記入しましょう。

参考:厚生労働省「公的年金シミュレーター」

【ポイント3】教育費の目安
子どもの教育費は進学状況や進路によって変化するので、基本生活費とは分けて記入することをおすすめします。公立か私立のどちらに進むかによってかかる教育費の相場は大きく異なるので、進路に応じて以下の金額を参考に見積もりましょう。なお、下表は進路ごとの合計の教育費なので、キャッシュフロー表に反映する際は、記載されている金額を、通う年数で割って毎年の教育費を計算してください。

教育費の目安

年数 公立
(大学は国立)
私立
小学校 6年間 約211万円 約1,000万円
中学校 3年間 約162万円 約430万円
高校 3年間 約154万円 約316万円
大学 4年間 約243万円 約469万円

【出典】
・小学校~高校:令和3年度子供の学習費調査の結果を公表します(文部科学省)
・国公立大学(国立):国公私立大学の授業料等の推移(文部科学省)
・私立大学:私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果について(文部科学省)

【ポイント4】老後の支出
老後は現役時代とライフスタイルが変わることが一般的なので、支出の予想がつきにくいかもしれません。現在の支出から予想するのが難しい場合は、平均的な金額を見積もる方法も一案です。

例えば、一般的な夫婦2人世帯の老後の平均生活費は以下のとおりです。

月額 年間
老後の最低日常生活費 23.2万円 278.4万円
ゆとりある老後生活費※ 37.9万円 454.8万円

※最低限日常生活費に「旅行やレジャー」「日常生活費の充実」「趣味や教養」などを上乗せした金額
出典:生命保険文化センター「生活保障に関する調査」/2022(令和4)年度

万が一の際の備えも忘れずに

ここまでは理想のライフプランをベースとした、ライフイベント表とキャッシュフロー表の作り方を解説してきました。しかし人生には病気やケガ、失業、ご自身や配偶者の死亡といった不測の事態が起こることもあります。例えば病気で長期間働けなくなった場合は、一時的な治療費や入院費がかかるだけでなく収入も減少してしまうため、ライフプランに影響を及ぼしかねません。そのような場合に備えて、ある程度の貯蓄を確保しておく、生命保険に加入しておくといった対策も必要です。

生命保険への加入は、万が一の際の経済的なリスクに備えるために有効な方法です。生命保険には以下のような種類があるので、目的に応じて必要な保障の備わった保険に加入することをおすすめします。

● 生命保険の種類

目的 保険の種類
病気やケガをしたときの治療費、入院費を準備したい 医療保険
がんに備えたい がん保険
自分が死亡したときに家族へ生活費を遺したい 死亡保険(定期保険、終身保険)、収入保障保険
働けなくなったときに備えたい 就業不能保障、所得補償保険
子どもの教育費を確実に準備したい 学資保険
介護に備えたい 介護保険
認知症に備えたい 認知症保険

まとめ

ライフプランシミュレーションは、将来必要なお金を「見える化」し、理想のライフプランを実現するための道しるべとなるものです。現時点での夢や目標、収支の状況をもとにシミュレーションすることで課題が発見でき、具体的な対策を取るためのきっかけにもなります。

ライフプランの実現に必要なお金を準備するためには、収入や支出の見直しだけではなく、計画的な資産形成も必要になってきます。手軽に投資を始めたい方や少額からコツコツ積み立てたい方には、資産運用アプリ「トラノコ」がおすすめです。リスク許容度に応じて3つの投資信託の中から1つを選ぶだけで、毎月決まった金額が自動的に積み立てられるので、投資の経験がない方でも無理なく続けやすいでしょう。

トラノコ | 長期分散投資アプリ

関連記事