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「インフレ」「デフレ」ってなに?物価との関係やインフレ時に始めやすい資産運用をわかりやすく解説

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テレビやネットの経済ニュースなどで「インフレ」「デフレ」という言葉を見聞きしたことがある方は少なくないと思います。しかし、具体的に何を意味する言葉なのかわからない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

本記事では「インフレ」と「デフレ」の意味や物価との関係、さらには私たちの生活にどのような影響があるのかを、表や身近な例を交えてわかりやすく解説します。

インフレ/デフレと物価との関係

インフレ/デフレとは、モノやサービスの値段(物価)の動きを表す言葉です。インフレとはインフレーション(Inflation)の略語で、物価が継続して上昇している状態をいいます。デフレはデフレーション(Deflation)の略語で、インフレとは反対に物価が継続して下がっている状態です。

インフレは、例えばこれまで100円で買えていたモノが120円出さないと買えなくなってしまうような状況です。一般的に、インフレは景気がよい状態で起こりやすくなります。好景気になると企業のモノやサービスが売れて儲かり、それによって従業員の給料が増え、購買意欲や需要が高まり、物価が上昇する仕組みです。

逆に、デフレ時は100円のモノが80円に値下がりするような状況を指します。デフレは景気が後退する局面で起こりやすくなります。不況下ではモノやサービスが売れず、企業の儲けが減り、これが従業員の給料や購買意欲の低下につながり、需要が減ることで物価が下がるという流れが起こります。

一方で景気が後退している時に起こるインフレもあり、これをStagnation(スタグネーション:景気停滞)とInflation(インフレーション)の合成語であるスタグフレーション(Stagflation)といいます。スタグフレーションは、物価が上がっているにも関わらず、購買意欲や需要が低いままで、企業の儲けが増えない状態です。原材料の高騰や、円安に伴う輸入コストの増加などが要因で起こりますが、不況下にも関わらず物価が上昇して私たちの生活が苦しくなるため「悪いインフレ」とも呼ばれます。

 

インフレ/デフレは私たちの暮らしにどう影響する?

インフレ/デフレは、私たちの暮らしや経済にどのように関係しているのでしょうか。下表を基に、インフレ/デフレが及ぼす主な影響を見ていきましょう。

インフレ デフレ
お金の価値 下落 上昇
株価 上昇 下落
金利 上昇 下落
為替 円安 円高

※ここではわかりやすく解説するために一般的な傾向を述べていますが、あくまで理論上の話であり実際は必ずしもそうならない場合があります。

お金の価値が変化する

インフレ/デフレ(物価)とお金の価値は表裏一体の関係にあります。インフレになると物価が上がるため、モノやサービスを購入するためにこれまでより多くのお金を支払わなければなりません。同じ金額で買えるモノやサービスの量・価値が下がるので、これは実質的にお金の価値が目減りしてしまうことを意味します。

反対にデフレ時は、物価が下がるためこれまでより少ない金額で購入できるようになります。そのため、モノやサービスに対するお金の価値は相対的に上がります。

株価に影響する

好景気に伴うインフレであれば、企業の業績がよくなるため、一般的に株価は上昇します。そのため株式や投資信託などの金融資産を持っている方は、保有している銘柄の価格が上がるといった恩恵が受けやすくなるでしょう。反対にデフレ時は不況下にあるため、株価は下落する傾向にあります。

金利の変化

インフレ時には企業がモノやサービスを売るために積極的に設備投資しようとするため、資金の需要が高まります。金利は資金の需要と供給のバランスによって決まる仕組みで、資金の需要が高まれば金利は上昇します。またインフレが過熱しすぎるとそれを抑制するため、政府の金融政策によって金利が上昇する傾向があります。

一方でデフレ時には金利は下がる傾向にあります。一般的に不況下では企業が設備投資を控える傾向にあり、資金の需要が減ってしまうためです。

私たちが実感しやすい金利の変化としては、ローンや預金の金利が挙げられます。例えばインフレによって金利が上がるとローンも金利が高くなるため、返済時の金利負担が増えてしまいます。同じく預金の金利も高くなりますが、この場合は残高に対して受け取れる利子が増えます。デフレ時にはその反対の影響が起こります。

為替にも影響する

インフレ/デフレは為替(外国為替)にも影響を与えます。為替とは異なる通貨を交換することで、この際の交換比率を為替レートといいます。円をドルに両替する場合、円とドルの為替レートは「1ドル=○○円」というように表されます。

前述のとおりインフレになるとお金の価値、つまり円の価値が下がるため、外国の通貨より相対的に価値が低い「円安」の傾向になります。反対にデフレ時は円の価値が高まるため、外国の通貨より円の価値が高い「円高」の傾向になります。

私たちが為替の変化を感じやすい身近な例は海外旅行でしょう。例えばハワイに旅行する際、1万円分をドルに両替するとします。為替レートが「1ドル=100円」の時は100ドル(1万÷100

)に交換できますが、「1ドル=80円」の時は125ドル(1万÷80)に増えます。このように同じ通貨でより多くの外貨に交換できる状態を「円高」といいます。逆に「円安」が進み「1ドル=125円」になると交換できる通貨は80ドル(1万÷125)に減ってしまいます。

※参考:外国為替レートの変動要因と生活・投資に与える影響は?仕組みを知って投資における為替リスクを抑えよう(トラの知恵記事)

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インフレ対策として投資をすることも検討しよう

資産運用を始める際は、インフレ/デフレに強い資産を知っておくことも大切です。下表はインフレ/デフレそれぞれに強い資産をまとめたものです。

インフレに強い資産
(デフレに弱い資産)
デフレに強い資産
(インフレに弱い資産)
・株式
・投資信託
・不動産
・金など

・現金
・預貯金
・保険
・債券など

 

インフレに強い資産は値動きによって将来受け取れる金額が変わりますが、デフレに強い資産は将来受け取れる金額が決まっていることが一般的です。そのため預貯金などはインフレになるとお金の価値が目減りしてしまうといったリスクがあります。

昨今の日本は物価上昇が続いており、インフレの状態といわれていますが、今後どのように物価が動くか予想することは困難です。そのためどちらの状況になっても対応できるよう、インフレに強い資産、デフレに強い資産に分散して運用するのが望ましいでしょう。投資未経験の方は、預貯金だけではなく、インフレ対策として株式や投資信託への投資も検討してみることをおすすめします。

インフレに強い資産の中でも、投資信託は一度銘柄を選んでしまえば、運用を投資のプロにお任せできるため、投資初心者でも始めやすい金融商品です。投資アプリ「トラノコ」なら、少額から手軽に投資信託の積立投資が始められます。毎月無理のない金額で積み立てられるので、投資の基本である「長期・積立・分散」を実践しやすく、デフレ時の値下がりリスクを軽減する効果も期待できます。インフレ/デフレどちらの状態になっても安定的に運用を継続したい方は検討してみてください。

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まとめ

インフレ/デフレは物価の動きを表す言葉であり、私たちの生活に密接に関係しています。今後ニュースやネットなどで見聞きした際は、今回紹介した内容を思い出して、日常生活や経済にどのような影響があるかイメージしてみてください。資産運用を始める際やローンを契約する際にも役立つ知識なので、ぜひご自身の生活に役立ててみましょう。

 

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