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老後資金はいくら必要?必要資金の計算方法から資産づくりまで

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※この記事は2021年11月16日時点の内容となります。最新のNISAに関してはこちらの記事をご参照ください。

日本人の平均寿命が80歳を超える現在、老後の生活資金に不安を抱く人は少なくありません。リタイア後にいくらあれば安心できるのか、老後資金の形成に役立つ制度などを紹介します。不自由のない老後を迎えるために、知識を身に付けておきましょう。

老後資金はいくらあれば安心なの?

老後資金とは退職して給与収入がなくなった後に、年金だけで足りない生活費を補うためのお金です。2019年に金融庁の報告書にある『老後資金は2000万円必要』という記述が物議を醸しました。

『2000万円』という数字はどのように算出されたのでしょうか。本当に必要な金額はいくらになるのかを、あわせて解説します。

2000万円必要といわれる理由

老後資金の必要額として発表された『2000万円』は、2019年に金融庁の金融審議会『市場ワーキング・グループ』が公表した報告書の中に記載された数字です。

報告書では高齢夫婦の無職世帯において、毎月5万5000円ほどの赤字が出ることを想定しています。この状態が20年続く場合にはおよそ1300万円、30年続く場合には2000万円弱が必要になると書かれています。

定年退職の年齢を60歳とし、平均寿命から給与収入がなくなってから20~30年生活することを仮定したため、『2000万円』が老後資金として必要と考えられたわけです。

参考:金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」

必要額は老後の生活水準による

老後資金の必要額とされた2000万円が自分にとって妥当かどうかは、老後の生活水準や健康状態、保有資産によって変わってきます。

月々の生活費や娯楽に使う金額よって、同じ額の年金をもらっていても不足分に違いが出るでしょう。持ち家ならローンを完済すれば住む場所への支払いはありませんが、借家や賃貸なら毎月賃料の支払いが必要です。

病気にかかっているなら通院費や薬代・手術代もかかる上、施設に入る場合は入居費用も支払わなければなりません。健康寿命によっても必要額は大きく変わります。

不動産収入をはじめとした不労所得や雑所得があるかどうかでも、定年前にためておきたい額は違うでしょう。2000万円という金額はあくまで目安にすぎず、個人個人の状況によって柔軟に考える必要があります。

老後に資金不足が懸念される三つの理由

現在ではマスメディアでもインターネットでも、老後の資金不足が取り沙汰される機会が多くなっています。平成初期や昭和の時代には現在ほど見られなかったテーマです。

なぜ近年資金不足を懸念するニュースが多く取り沙汰されているのでしょうか。

少子高齢化と長寿化

日本では少子高齢化が進み、 現在では全人口のおよそ3割が65歳以上という時代です。若い世代の比率が減少している背景を受け、「年金制度が破綻するのではないか」という議論も長年にわたって巻き起こっています。

少子高齢化が進むと労働人口が減少し、年金受給金額の減少や給付年齢の引き上げといった問題が起こります。医療費の高騰も想定されるでしょう。高齢者が生きるために必要な資金が、従来と比べて高まると予想されます。

個人個人の『長寿化』も、老後の備えが必要な要因です。平成初期の平均寿命は男性で約75歳・女性で約82歳でしたが、2019年には男性で約81歳・女性で約87歳と5歳ほど上がっています。

寿命が延びるということは退職してからの人生も長くなり、生活費や医療費・介護費用などが発生する期間も延びるということです。リタイア後の長い余生を不自由なく過ごすためにも、現役のうちに始める資産形成が求められます。

参考:令和元年簡易生命表の概況|厚生労働省

フルタイム・正社員でない働き方の普及

近年は労働者の生活スタイルや価値観が多様化しており、以前のように正社員として1日8時間、週5日働くという働き方が当たり前でなくなってきました。家庭の事情で週3〜4日の時短勤務をしている人もいます。

フルタイム雇用でなくても一定の労働時間があれば厚生年金に加入できますが、65歳からもらえる老齢厚生年金は報酬に比例する仕組みです。労働時間が短く収入が少なければ、リタイア後にもらえる年金の額が減ってしまいます。

非正規雇用やフリーランスといった働き方が浸透し、正社員と同じ恩恵を受けられない人が増えたのも老後が懸念される原因です。一部の非正規雇用やフリーランスには、賞与や退職金の支給がありません。

働き方の多様化という社会的から、老後に手元に残るお金が少ない人は以前よりも増えると予想されています。

退職金が減少している傾向

退職金の金額が減っている傾向にあるのも、老後の備えが叫ばれる理由の一つです。

厚生労働省が公表している『就労条件総合調査』によれば、退職金の平均金額は、2003年に大学卒が2499万円であったのに対し、2018年の調査では1788万円まで減少しています。

近年では退職金制度をもともと用意していない会社が出てきました。転職に対する心理的なハードルが下がり、退職金を受け取れる規定年数を勤め上げない労働者も増えています。

老後は退職金で暮らすのが当たり前だった時代と比べて、退職金の減少により老後の生活に不安を感じている人が増加しているのでしょう。

参考:平成30年就労条件総合調査 結果の概況|厚生労働省

参考:退職給付(一時金・年金)の支給実態|厚生労働省

いくら必要かシミュレーションしよう

老後資金がいくら必要になるかは、その人の生活水準や健康年齢によって違います。予想される年金収入と支出を算出して、老後資金を実際に計算してみましょう。

毎月の年金額を確認

リタイア後の生活資金を支えるのが年金です。メインの収入となる年金の給付額が分かれば、支出を差し引いて不足する金額を算出できます。

もらえる年金の額は加入期間や加入していた年金の種類によって、一人一人違ってくるのが特徴です。

老齢厚生年金は厚生年金に加入していたときの月額報酬や、加入期間によって金額が変わります。ベースとなる老齢基礎年金(国民年金)に加算される形です。

2019年度末の統計では、厚生年金の受給資格を持つ人が1カ月に受け取る年金額の平均は約14万4000円です。国民年金は月に約5万6000円が平均値となっています。

自分が退職後にどの程度の金額を受け取れるか、日本年金機構の『年金見込額試算』でシミュレーションしてみましょう。

年金見込額試算|日本年金機構

参考:令和元年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況|厚生労働省年金局

支出額を算出

年金による収入がいくらか試算できたら、老後の支出額についても計算します。より金額を現実化するために、考えられる支出を固定費と変動費に分けて考えましょう。

固定費としてかかるのは、家賃や車の管理・維持費、水道光熱費などです。持ち家ならローンの返済額や火災保険料、固定資産税といった支払いとあわせて計算しましょう。

変動費として含めたいのは、食費や娯楽に使うお金だけではありません。年を取ると医療費や介護費もかかってくるため、ある程度の余裕を見ておくと安心です。

持ち家のリフォーム代やバリアフリー化に使う費用も、老後にかかる可能性があります。1回だけかかる費用はそのまま、一定期間ごとに発生する支出はリタイア後の年数分を合計して支出額を出しましょう。

老後資金を計算

年金の他に雑所得や不労所得、親から受け継ぐ土地や資産がある場合は、収入に含めます。退職金ももらえる見込みがあるなら加えましょう。

定年後の年数分を足し合わせた見込み収入から、予想される支出を引けば老後資金を概算できます。

老後資金の総額を月数で割れば、毎月いくらの貯金が必要になるのか把握が可能です。将来に向けた計画に役立てましょう。

老後資金の形成に役立つ制度

老後の資金が貯金だけで作れないと感じるなら、積極的に資産を運用して老後資金を形成する方法もあります。

日本で資産運用をしたいとき、税制上のメリットを得られる制度が『iDeCo(イデコ)』と『NISA(ニーサ)』です。それぞれどのような制度なのでしょうか?

掛け金が所得控除の対象に「iDeCo」

『iDeCo』とは個人型確定拠出年金とも呼ばれる私的年金制度です。毎月納める年金とは別に、自分で掛け金を積み立てて運用して資産を形成します。

積立金額は5000円からで、運用する金融商品は自ら選ばなければなりません。積立(拠出)した掛け金と運用で増えたお金は、60歳以降に受け取れる仕組みです。

通常、金融商品を買って利益を見込む投資では、利益に所得税や復興税がかかります。しかしiDeCoを活用して積立をすると、掛け金が全額所得控除されるうえ、運用利益は非課税で再投資できるのです。

老後に備えた資金作りで、節税対策をとりたい人は積極的に活用しましょう。

参考:iDeCo公式サイト

投資に非課税枠を使える「NISA」

NISAとは株や投資信託といった金融商品を運用するにあたって、利益の一定金額が非課税になるという投資優遇制度です。

従来は売却益や配当金などに20%ほどの税金がかかってしまいますが、NISAをうまく活用すれば差し引かれる金額を抑えて資産運用ができます。

非課税枠の金額は『一般NISA』で年間120万円、積立投信のみを対象とした『つみたてNISA』で年間40万円です。

ただし繰越控除や損益通算といった、通常は受けられる税制上のメリットを受けられないデメリットも使う前によく検討しましょう。

なお現行の一般NISAは2023年までとなっていますが、2024年からは新しいNISA制度が導入されます。

参考:NISAとは?|金融庁

老後資金づくりは早くから始めよう


老後に安心して暮らせる資金を作るためにも、資産形成の方法については一定の知識を備えておきたいところです。早い段階から運用を始めて、リタイア後に必要なお金の確保を目指しましょう。

比較的リスクが低く、初心者でも始めやすい資産形成の方法を三つ紹介します。

プロに任せる運用「投資信託」

投資信託(ファンド)とは、『投資家から集めた資金を専門家が運用する』という金融商品を指します。

少額から投資できる点や、個別銘柄をいくつも選ばなくても分散投資ができる点が初心者に向いている理由です。

また知識が浅い状態で株式をはじめとした有価証券に手を出すよりも、プロに運用を任せられる投資信託は安定性が高いといえます。

注意すべき点は、大半の金融商品と同じく元本保証がないことです。運用成績によっては、利益が得られずにマイナスになってしまう可能性もあります。

任意で積立できる企業も「企業型DC」

iDeCoは個人を対象とした確定拠出年金の制度ですが、企業を対象とした確定拠出年金もあります。『企業型DC』と呼ばれるものです。

企業型DCではiDeCoと違って、雇い主である企業が従業員に代わって掛け金を拠出します。従業員がその掛け金を自ら運用し、一定の条件を満たしたときに引き出せる仕組みです。

企業型DCのメリットは、会社が手数料も負担してくれる点や、運用する金融商品を会社がある程度選定してくれる点です。コストもリスクも抑えて運用したい人に向いているでしょう。

運用してプラスになった場合、iDeCoと同じく利益は課税対象外となります。ただ個人の運用スキルによっては、マイナスにもなり得る点に注意が必要です。

投資のファーストステップに「おつり投資」

投資に対して元本割れのリスクや手続きが面倒で尻込みしてしまう人は、よりリスクが少なく簡単に投資できる『おつり投資』を利用してはいかがでしょうか。

おつり投資とは名前の通り、買い物のおつりを投資に回すサービスです。450円の買い物で500円を出した場合、おつりの50円を使って投資信託を購入します。

端数の金額なので損をしてもダメージが少なく、初心者でも安心して始められます。中でも投資の第一歩としておすすめなのが、おつりやポイントで投資できる『トラノコ』です。

少額から始められる手軽さや家計簿アプリと連携できる便利さは、投資のハードルが高いと感じる人には魅力的でしょう。資産運用の姿勢によって、リスクや見込める利益の大きさを選べます。

おつりで投資 トラノコ|長期分散投資アプリ

まとめ

老後資金に不安を感じている人は、まずは何が原因で不安を覚えるのかを明らかにしましょう。2019年頃に『老後2000万円問題』として取り上げられた金額は、あくまで平均的な老齢夫婦の生活を元に考えられた数字です。

個人個人で持っている資産や生活スタイルは違うため、老後資金がいくら必要かは人によって異なります。

目安が知りたい場合は、年金や雑所得から支出見込額を引いて老後資金を割り出してみましょう。具体的な金額が分かれば、老後に向けた資産づくりの方向性を判断しやすくなります。

退職金や年金が今後減っていく可能性がある現代では、老後の生活に向けて資産を運用する意識も大切です。投資信託や企業型DC、おつり投資など、リスクの低い方法から自分に合うものを選んで、資産形成を始めてみてはいかがでしょうか。

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