トラの知恵

金利上昇局面でも資産運用は必要?インフレ時代に大切な資産を守るための考え方

公開日:

日本でも金利が上昇し、預貯金で以前より多くの利息収入を得られるようになりました。しかし、預金金利が上がったからといって、資産運用が不要になったわけではありません。物価上昇が続くなかで大切な資産を守るには、預貯金と投資を目的に応じて使い分けることが重要です。

この記事では、金利上昇局面における資産運用の必要性と、インフレ時代に大切な資産を守るための考え方について解説します。

金利上昇で預金金利はどれくらい上がった?

日本では長く低金利が続いていましたが、近年は金利の上昇が目立っています。

日銀は2024年3月にマイナス金利政策を解除した後、段階的に政策金利を引き上げてきました。2026年9月には、政策金利を1.0%程度から1.25%程度へ引き上げています。

長期金利も上昇しています。長期金利の代表的な指標である「10年国債利回り」は、2026年9月15日に一時3.035%まで上昇しました。

こうした金利上昇を受けて、銀行の預金金利も引き上げられています。日銀の統計によると、2026年8月の預金金利の平均年利率は普通預金が0.306%、定期預金(期間1年、預入金額1,000万円以上)は0.447%となっています。

かつて普通預金金利が年0.001%程度だった時期と比べれば、預貯金でも利息を受け取りやすい「金利のある時代」に変化したといえるでしょう。

出典)日本銀行「主要時系列統計データ表(預金種類別店頭表示金利の平均年利率等[月次])」

関連記事)日銀利上げで政策金利が1%程度に 家計や資産運用への影響と対策を知っておこう
関連記事)長期金利とは?上がると生活はどうなる?短期金利との違いや住宅ローンへの影響を解説


 

金利上昇局面でも資産運用が必要な理由

「預金金利が上がったのなら、リスクを取って資産運用をする必要はないのでは」と考える人もいるかもしれません。しかし、資産運用の必要性を判断するときは、金利だけでなくインフレ(物価上昇)にも目を向けることが大切です。

インフレが続くと資産の実質的価値は目減りする

インフレとは、モノやサービスの価格が継続的に上昇する状態です。同じ金額で買えるモノやサービスが少なくなるため、インフレが進むとお金の実質的な価値は低下します。

例えば、100万円を年0.5%の金利で預けると、1年後には税引前で5,000円の利息がつきます。一方、物価が年2%上昇すれば、現在100万円で購入できるモノやサービスが、1年後には約102万円必要になる計算です。

現在 1年後 変化
預金残高(金利年0.5%) 100万円 100万5,000円(税引前) +5,000円
100万円相当のモノ・サービスの価格(物価上昇率2%) 100万円 102万円 +2万円
差額(預貯金の実質的価値) – ▲1万5,000円 –

つまり、預金残高は利息によって増えていても、預金金利より物価上昇率のほうが高ければ、預貯金の実質的な価値は低下する可能性があります。

関連記事)「インフレ」「デフレ」ってなに?物価との関係やインフレ時に始めやすい資産運用をわかりやすく解説

資産運用は「お金を増やす」だけでなく「守る」ためにも必要

資産運用と聞くと、積極的にお金を増やすイメージがあるかもしれません。しかし、インフレ局面では、保有資産の実質的な価値を守ることも資産運用の重要な目的になります。

仮に物価上昇率が年2%の場合、預貯金の残高が変わらなくても、そのお金で購入できるモノやサービスは実質的に減っていきます。一方、物価上昇率を上回る利回りで運用できれば、インフレによる購買力の低下を補い、資産の実質的な価値を維持することにつながります。

預貯金は安全性が高く、必要なときに使いやすい一方で、大きなリターンは期待できません。そのため、手元資金の一部を投資に回し、長期的に物価上昇率を上回る運用成果を目指すことが、インフレから資産を守るための一つの方法となります。

 

金利上昇は資産運用にどのような影響を与える?

金利上昇の影響は、金融商品の種類によって異なります。ここでは「預貯金」「債券」「株式・投資信託」について、それぞれ金利の動きとの関係を整理します。

預貯金|利息収入が増える

市場金利が上昇すると、金融機関が普通預金や定期預金の金利を引き上げることがあります。預金者にとっては、同じ金額を預けていても利息収入が増えることになります。近年の金利上昇によって、預貯金の魅力が以前より高まったといえるでしょう。

ただし、金融機関や預金の種類、預入期間によって適用金利は異なります。また、前述のように預金金利が物価上昇率を下回れば、実質的な資産価値が目減りする可能性がある点には注意が必要です。

債券|金利上昇で価格が下落することがある

一般的に、市場金利と債券価格は逆方向に動く関係があります。

例えば、保有する債券の利率が2%だとします。市場金利が3%になった場合、市場金利より利率が低い債券は魅力がなくなるため、債券価格は低下します。逆に市場金利が1%になった場合、保有する債券の利率のほうが高いため、需要が伸びて債券価格は上昇します。

ただし、個人向け国債は、国が元本の償還と利子の支払いを保証しているため、日々の値動きはありません。

関連記事)債券とは?債券の特徴や種類をわかりやすく解説
関連記事)個人向け国債とは?注目度が高まっている理由とメリット・デメリット、向いている人の特徴を解説

株式・投資信託|金利上昇の背景や投資先によって影響が異なる

金利上昇は、企業の借入コストの増加などを通じて、株価を下押しする要因になることがあります。また、債券などの利回りが高くなることで、株式から資金が移動する可能性もあります。

ただし、金利上昇が、必ず株価下落につながるとは限りません。好景気で企業業績が伸びていることを背景に金利が上昇している場合などは、株価が上昇することもあります。また、業種や企業の財務状況などによって金利上昇の影響は異なります。

投資信託についても同様です。投資対象として組み入れている資産(株式、債券、不動産など)によって影響が異なるため、運用方針を確認することが大切です。


 

金利上昇・インフレに備える資産運用の考え方

金利や物価の環境が変化しても、資産運用の基本的な考え方が大きく変わるわけではありません。預貯金と投資を適切に組み合わせ、自分に合った方法で長期的に取り組むことが重要です。

預貯金と投資を目的に応じて使い分ける

投資にいくら回すかを決める際は、手元にあるお金を目的に応じて分けて考えるとよいでしょう。

「直近の生活に必要なお金」と「近い将来使う予定があるお金」は、必要なときにすぐ引き出せる預貯金で確保しておくと安心です。

一方、当面使う予定がない余裕資金は、「リスクをとって運用してもよい」と思える範囲で投資に回すことを検討しましょう。値動きを受け入れながら長期的な収益を目指すことで、インフレによる資産価値の目減りに備えることができます。

関連記事)資産運用のコツはお金の使い分け!貯金の何割を投資にまわすべき?

長期・積立・分散投資を基本にする

将来の金利や株価、為替などを正確に予測することは困難です。そのため、資産運用では特定のタイミングに資金を集中させるのではなく、「長期・積立・分散」を意識することが基本となります。

短期的な値動きに一喜一憂せず、長期的な視点で積立投資を続けることで、平均購入単価が平準化される効果が期待できます。また、運用期間が長くなるほど、得られる複利効果も大きくなります。

さらに、国内外の株式や債券など値動きの異なる資産に分散すれば、特定の資産が値下がりしても、他の資産の値上がりでカバーできる可能性があります。

関連記事)分散投資とは?リスク軽減が期待できる仕組みと投資信託の選び方を紹介

 

金利上昇局面で資産運用をするときの注意点

金利上昇局面で資産運用に取り組む際は、以下の点に注意が必要です。

金利の動きを予測して投資判断をしない

金融市場は金利だけでなく、景気や企業業績、為替、海外情勢などさまざまな要因で動きます。また、将来の金利変動がすでに市場価格に織り込まれていることもあります。

短期的な予測に頼るのではなく、運用目的や運用期間、リスク許容度に合った資産配分を決め、それに基づいて投資を続けることが重要です。

関連記事)リスク許容度とは?自分に合った資産配分で無理なく運用するための考え方を解説

生活費や近い将来使うお金まで投資に回さない

インフレへの備えは重要ですが、保有するお金のすべてを投資に回す必要はありません。

株式や投資信託などは価格が変動するため、必要になったタイミングで値下がりしている可能性があります。生活費や数年以内に使う予定のお金まで投資すると、相場が下落しているときに売却せざるを得なくなるかもしれません。

まずは生活に必要なお金を預貯金で確保したうえで、余裕資金の範囲で投資を行うことを検討しましょう。

日々の値動きに一喜一憂しない「トラノコ利回りファンドシリーズ」も選択肢

資産運用の必要性を理解していても、「日々の値動きをあまり気にせず運用したい」と感じる人もいるでしょう。その場合は、「トラノコ利回りファンドシリーズ」も選択肢の一つです。

複数の中小企業に分散融資するファンドを通じて、預貯金より高い利回りを目指して運用されるのが特徴です。値上がり益を狙う株式投資とは異なり、あらかじめ決められた利息収入をベースとしているため、比較的安定した収益を目指しているファンドシリーズです。

トラノコPLUS 利回りファンド特設サイト


 

まとめ

預金金利が上昇しても、物価上昇率を下回れば実質的な資産価値は目減りする可能性があります。そのため、資産運用の必要性がなくなるわけではありません。

生活費や近い将来使うお金は預貯金で確保し、余裕資金は物価上昇率を上回る運用成果を目指して投資に回すなど、目的に応じて使い分けることが大切です。長期・積立・分散を基本に、自分に合った方法で資産を守りながら育てていきましょう。

関連記事