年収400万円は少ない?平均年収や将来に向けた資産形成方法を紹介
公開日: 最終更新日:※この記事は2021年12月14日時点の内容となります。最新のNISAに関してはこちらの記事をご参照ください。
家のローンや税金、育児費用などの出費を考えた場合、年収400万円は将来的に安心できる収入なのでしょうか?平均所得や家庭ごとの状況から検討しましょう。年収アップのために選択できる方法や投資についても解説します。
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年収400万円は世間的に低い?
テレビやSNSには高額所得者の情報が多く流れていて、「年収400万円は少ないのではないか?」と思ってしまうこともあるでしょう。実際のところはどうなのでしょうか。
年収400万円が日本の平均と比べてどの程度の位置なのかを、国税庁の調査結果をもとに解説します。
平均給与は約430万円
国税庁が発表した『令和2年分民間給与実態統計調査』によれば、令和2年の平均給与は約433万円となっています。
男女別に見ると、男性の平均給与は532万円、女性が293万円です。また正規・非正規雇用で見てみると、正規雇用の平均給与が496万円なのに対し、非正規雇用は176万円となっています。
この点から見ても、年収400万円台は平均の範囲内といえそうです。
世帯所得の平均は約550万円
個人の平均給与を確認しましたが、世帯ごとの平均所得はどうなっているのでしょうか。厚生労働省による『2019年国民生活基礎調査の概況』によれば、全世帯の所得の平均値は約552万円です。
これはあくまで全世帯のデータであり、その中には高齢者世帯や子供がいない世帯などさまざまな状況を抱える世帯も含まれます。比較するのであれば、自分と状況が近い世帯のデータを参照する必要があるでしょう。
同データを見ると、『高齢者世帯』の平均世帯所得が312万6000円、『高齢者世帯以外の世帯』が659万3000円、『児童のいる世帯』が745万9000円となっていて、世帯の状況によって大きな開きがあります。
年収400万円の生活は厳しい?
2019年には『老後2000万円問題』が話題になり、個人が資産形成や将来設計について考えるきっかけとなりました。現在の年収で今後の生活や将来に対して不安を抱いている人も多いでしょう。
実際に生活できるかどうかは、自身を取り巻く状況や将来の展望によっても変わってきます。どのような展望が考えられるのか、シチュエーション別に見ていきましょう。
子供が大学に進学する場合は厳しい
文部科学省が発表した『平成30年度子供の学習費調査の結果について』によれば、子供の学費は、小学校から高校まですべて国公立に通った場合の総額は800万円、私立の場合は約2300万円となっています。
大学だけに絞ってみれば、国立大学に4年間在籍した場合の平均学費は約540万円、私立の場合は730万〜830万円程度が相場です。子供1人を大学卒業まで育てる場合、最低でも1500万円以上の費用がかかると想像できます。
奨学金制度や国の支援金を活用してやりくりは可能ですが、自分たちの収入だけで子供を大学まで進学させようと思った場合、難しいといわざるを得ません。
参考:平成30年度子供の学習費調査の結果について|文部科学省
親の介護や老後の貯蓄の不安も
出費がかさむのは養育費だけではありません。親の介護に加え、自分の老後のためにもまとまったお金が必要になります。
公益財団法人生命保険文化センターが発表している『平成30年度生命保険に関する全国実態調査』によれば、介護にかかる費用はリフォームや介護用ベッドの購入などの一時金で約69万円、毎月かかる金額は平均で約7.8万円となっています。
年収400万円の収入だけでこうした費用を払うための資産を形成するのは、難しいというのが現実でしょう。
参考:平成30年度生命保険に関する全国実態調査P164-165|公益財団法人生命保険文化センター
年収アップの方法
現状の自分の収入に不安を感じて年収アップを図る場合、方法はいくつかあります。大きく分けて三つの方法を紹介するので、自分に合った方法を選択する材料にしてください。
給与の高い業界・企業への転職
年収を上げるための方法として、給与の高い業界や企業への転職が挙げられます。もちろんそう簡単にできることではありません。
一般的に、資格や専門的な技術を問われる希少な職業の方が、年収が高くなる傾向にあります。ただし、自身がそれらを持っていない限り転職は難しいでしょう。
そこでまず考えたいのが、現在の自分のキャリアと技術が報酬に見合っているかどうかという点です。会社によっては資格手当を支給しているところもあります。
希少性のあるスキルを持っているなら、スキルを評価してくれる会社に転職することで給与アップを期待できます。
昇級や出世
二つ目の選択肢は今の会社に残り、出世と昇級によって収入を上げるという方法です。転職は年収が下がってしまうリスクもあります。会社の業績が好調で、かつ将来性がある場合は、出世による給料アップを目指すのもよいでしょう。
ただし考慮しなければならないポイントもあります。出世により給料を上げるためには、まず会社の業績が好調であることと、自身の能力や仕事ぶりがきちんと会社から評価されていることが前提となる点です。
そうした点を踏まえた上で、出世が現実的かどうか、そして出世した場合に給与がどのぐらい上がるのかについて検討しましょう。
投資
三つ目の方法が投資です。投資は株や債券などを保有する金銭的な投資と、自身のスキルや能力を向上させるための自己投資に分かれます。
配当金や株主優待など、保有しているだけでプラスを得られる投資もあります。元本割れをはじめとしたリスクについては注意する必要もありますが、数百円からできる少額投資やポイント投資は、初心者でも始めやすい投資です。興味があれば行動してみるのもよいでしょう。
また自己投資は、資格取得や技術の修練など、将来に向けて自分の時間を投資することを指します。自分の市場価値を高めることで、転職や出世に有利に働くでしょう。
比較的リスクの低い投資方法は?
投資は出世や転職と比べると始めるハードルが低い一方で、損失が出る懸念もあります。大きな損失を避けたい場合は、リスクの低い投資から始めてみるとよいでしょう。初心者が始めやすい低リスクな投資の種類を紹介します。
つみたてNISA
つみたてNISAは『少額投資非課税制度』と呼ばれ、金融庁でもこの投資制度を推奨しています。
投資によって生まれた利益に対して、本来は約20%の税金が課せられます。しかしこのNISA制度を用いた場合は、一定金額までの投資に関しては利益が非課税になります。
つみたてNISAは毎年40万円が非課税です。扱っている金融商品も国が定めた基準を満たすことが義務化されているので、健全な投資を進められるでしょう。
※なお、2024年1月から新NISA制度が始まり、「つみたてNISA」の名称は「つみたて投資枠」へ、非課税の年間投資上限額が年120万円となり、非課税保有期間も無期限となりました。
投資信託
投資信託とは、複数の投資家から集めた資金をファンドマネージャーと呼ばれる投資の専門家が運用し、利益を出す方法です。複数の金融商品が一つのセットになっています。
複数の金融商品がまとめられているため、そのうちの一つの商品価値が下落したとしても、別の商品の値上がりで補填できるため、下落による損失を抑えられるのです。
自分で運用するのに手間や知識が不要な点や、数百円から投資できるものもあり、初心者が始めやすい投資といえます。
おつり投資
おつり投資とは、買い物をしたおつりを投資していくサービスです。家計の負担にならない程度の少額を、毎月コツコツと積み上げていくことができます。
サービスと連携しているポイントカードのポイントや、飛行機に乗った際などに発生するマイルでも投資できます。
自動引き落としで家計の負担にならないため、投資をしているという実感があまり湧かないかもしれませんが、投資結果はリアルタイムに確認が可能です。投資についてまったく経験のない初心者でも気軽に行えます。
まとめ
年収400万円は平均値に近い、ごく一般的な年収額といえそうです。ただし子供の養育費や親の介護、自身の老後のための資金を考えるなら、足りないと感じる人は多いでしょう。
出世や転職など、年収を上げる方法はいくつかありますが、手軽に始めやすいのが投資です。少額から始められる投資を行い、将来に備えて資産を形成しましょう。