新社会人が身につけるべき家計管理の方法は?無理なく貯蓄するコツも紹介
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社会人になると、仕事をして得た収入や、生活費などの支出を自分で管理しなくてはなりません。しかし、「家計管理のやり方がわからない」「なかなか貯金できない」と悩む人は多いでしょう。
この記事では、新社会人が身につけるべき家計管理の基本や無理なく貯蓄するコツを紹介します。
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新社会人にとって家計管理が重要な理由
新社会人が経済的に自立し、安心して生活していくには、家計管理の基本を身につける必要があります。まずは、新社会人にとって家計管理が重要な理由を確認していきましょう。
収入の範囲で生活費をまかなうため
初めて給与を受け取ると、うれしくてつい使いすぎてしまうかもしれません。しかし、学生時代とは異なり、社会人は自分の収入で生活費をまかなわなくてはなりません。
無計画な支出を続けると、次の給与を受け取る前にお金を使い切ってしまい、家賃などが払えなくなる恐れがあります。収入の範囲で生活費をまかなうには、収入や支出を管理して、家計を毎月黒字にすることが大切です。
人生のリスクに備えるため
病気やケガ、失業など、人生にはさまざまなリスクがあります。急に働けなくなった場合は収入が途絶えてしまい、経済的に苦しくなってしまうかもしれません。家計を適切に管理し、ある程度の貯蓄をしておけば、収入が途絶えても当面の生活費はカバーできます。
理想のライフプランを実現するため
ライフプランとは、夢や目標などを実現するための具体的な計画です。人生には結婚、出産・子育て、マイホームの購入などのライフイベントがあります。また、「将来は起業したい」「趣味や旅行を楽しみたい」といった夢を持つ人もいるでしょう。
自分の理想のライフプランを実現するには、ある程度まとまったお金が必要です。家計管理の方法を身につけ、着実に貯蓄していけば、夢や目標を実現しやすくなります。
関連記事:ライフプランのシミュレーション方法を解説。将来必要なお金を「見える化」しよう
新社会人・20代のお金事情は?
新社会人の初任給はいくらなのか、毎月の生活費はいくらかかるのか、気になる人もいるでしょう。ここでは、新社会人・20代のお金事情を紹介します。
新社会人の初任給
厚生労働省の調査によると、学歴別の初任給の平均額は以下の通りです。
学歴 | 初任給(月額) |
大学院卒 | 276,000円 |
大学卒 | 237,300円 |
高専・短大卒 | 214,600円 |
専門学校卒 | 214,500円 |
高校卒 | 186,800円 |
出典:令和5年賃金構造基本統計調査(新規学卒者)|厚生労働省
新社会人が一人暮らしを始める場合、上記の金額の範囲で毎月の生活費をまかなう必要があります。
毎月かかる生活費の内訳
総務省統計局の調査によると、単身世帯(34歳以下)の平均生活費の内訳は以下のようになっています。
項目 | 金額(月額) |
食料 | 38,666円 |
住居 | 36,954円 |
光熱・水道 | 10,119円 |
家具・家事用品 | 4,482円 |
被服及び履物 | 6,561円 |
保健医療 | 5,019円 |
交通・通信 | 21,403円 |
教育・教養娯楽 | 22,351円 |
その他の消費支出 | 24,725円 |
消費支出合計 | 170,281円 |
出典:2023年(令和5年)家計調査報告(家計収支編)|総務省統計局
食料や住居の割合が比較的高めです。住居は、一人暮らしと実家暮らしでは大きな差が生じるでしょう。その他の消費支出には、理美容サービスや交際費などが含まれます。
20代の金融資産保有額
金融広報中央委員会の調査によると、20代(単身世帯)の金融資産保有額の平均は121万円、中央値は9万円です。金融資産(貯蓄)がゼロの世帯が全体の43.9%を占めています。
中央値とは、データを大きい順に並べたときに中央に位置する値です。データの中に極端に大きい(小さい)値がある場合、平均値は影響を受けますが、中央値は影響を受けません。そのため、中央値のほうがより実態に近いといえるでしょう。
出典:家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)|知るぽると
新社会人が身につけるべき家計管理の基本
家計管理では、毎月の収支を把握し、適切に管理して安定的に黒字を確保することが大切です。初めて家計管理を行う場合は、以下の手順で取り組むとよいでしょう。
手取り収入を把握する
手取り収入とは、給与から税金(所得税、住民税)や社会保険料(雇用保険、健康保険、厚生年金など)を差し引いた金額です。手取り収入は、支出額や貯蓄額を決める基準となります。勤務先から受け取る給与明細書を見て、手取り収入を把握しておきましょう。
なお、手取り収入は、社会人1年目より2年目のほうが少なくなることがあります。所得税は入社1年目からかかりますが、住民税は2年目以降に支払うからです。住民税は前年度の所得をもとに税額が決まるため、このような仕組みになっています。
また、入社日によっては、雇用保険料と健康保険料・厚生年金保険料の支払開始のタイミングが1ヵ月ずれる可能性もあります。そのため、初任給より入社2ヵ月目以降の手取り収入が少なくなる場合があります。
支出を把握する
家計管理では、支出を把握することも重要です。毎月何にいくら使っているかわからないと、お金の使い方に問題がないか見直すことができません。預金通帳やレシート、クレジットカードの明細書などを確認し、支出状況を把握しておきましょう。
家計簿をつけて収支を記録する
家計管理では、家計簿をつけて収入や支出を記録し、収支のバランスがとれているかを確認することが重要です。家計簿をつけると、収支状況(黒字か赤字か)が一目でわかります。
家計簿をつける際は、家計簿アプリを利用すると便利です。銀行口座やクレジットカードなどと連携すれば、自動的に収入や支出の情報が家計簿アプリに反映されるため、無理なく続けられるでしょう。
関連記事:フィンテックとは?何ができる?代表的なサービスをわかりやすく解説
お金の使い方を見直す
家計簿をつけて収支状況を把握したら、お金の使い方を見直しましょう。「この支出は本当に必要か」「料金プランは適切か」などを検討すると、使い過ぎの防止につながります。無駄な支出を抑えれば、収入の範囲で生活費をまかなえるようになるでしょう。
新社会人が無理なく貯蓄するコツ
将来の経済的な安定のために資産を増やしていくには、時間を味方につけることが重要です。できるだけ早く貯蓄を始め、長期にわたって積み立てることで、必要な資金を着実に準備できます。ここでは、新社会人が無理なく貯蓄するコツを紹介します。
収入の1~2割を貯蓄する
短期間でまとまった貯金を作るのは難しいため、毎月の収入から少しずつ貯めていくのが現実的です。新社会人は、収入の1~2割を貯蓄にまわすのが目安となります。病気やケガなどのリスクに備えるために、まずは生活費の3~6ヵ月分の貯蓄を目指しましょう。
財形貯蓄や自動積立を活用する
着実にお金を貯めていきたいなら、貯蓄にまわす分を収入からあらかじめ差し引く「先取り貯蓄」がおすすめです。先取り貯蓄をし、残ったお金で生活する習慣をつければ、無理なくお金を貯めることができます。
先取り貯蓄をするときは、給与天引きで積み立てができる「財形貯蓄」を活用しましょう。最初に手続きを済ませてしまえば、あとは普通に生活しているだけで自然とお金が貯まります。勤務先に財形貯蓄制度がない場合は、銀行の自動積立を検討しましょう。
支出を見直すときは固定費から
無理なく貯蓄するには、無駄な支出を抑えることも重要です。生活費には、毎月または定期的に決まった金額を支払う「固定費」と、月によって支払う金額が変わる「変動費」があります。生活費を節約するときは、まず固定費から見直すのがポイントです。
<固定費と変動費の例>
- 固定費:家賃、通信費、保険料、サブスク、水道光熱費(基本料金)など
- 変動費:食費、日用品費、服飾費、娯楽費、交際費など
固定費は毎月の支払金額が決まっているため、一度見直すと手間なく節約できます。例えば、料金プランを見直してスマホ代が月額5,000円から月額2,000円に下がった場合、特に意識しなくても毎月3,000円(年間36,000円)の節約が可能です。
一方で、食費や娯楽費などを減らしすぎるとストレスが溜まり、長続きしないことがあります。支出を見直すなら、まずは固定費から始めましょう。
関連記事:生活費は固定費から見直そう!「無理なく」節約できるコツを紹介
家計管理が身についたら投資も視野に入れよう
家計管理が身について経済的に余裕ができたら、貯蓄の一部を投資にまわして将来のために資産づくりを始めるのも一案です。
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まとめ
新社会人にとって、家計管理は将来の生活設計を左右する重要な課題です。家計管理が身につけば、無理なく貯蓄できるようになり、自分の理想のライフプランを実現しやすくなります。まずは手取り収入と支出を把握し、家計簿をつけることから始めましょう。