新NISA運用開始から1年経過 利用者の動向や運用状況、注意点をデータとともに紹介
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2024年1月にスタートした新NISAは、制度開始から1年以上が経過しました。どのような人が新NISAを利用し、その運用状況はどうだったのでしょうか。
この記事では、新NISAの利用者の動向や運用状況、今後の運用で心掛けたいことを解説します。
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そもそも新NISAとは
NISAとは、株式や投資信託などの金融商品から得られる利益が非課税になる「少額投資非課税制度」です。
旧制度は、成年が利用できる「つみたてNISA」と「一般NISA」、未成年が対象の「ジュニアNISA」の3種類がありましたが、長期の資産形成を支援する制度としては、年間投資枠や非課税期間の制限について拡充を期待する声もありました。
そこで、2023年度の税制改正大綱においてNISAの抜本的拡充・恒久化が盛り込まれ、2024年1月から新NISAが導入されました。新NISAの制度概要は以下の通りです。
出典:金融庁「NISAを知る」
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/know/index.html
旧制度のつみたてNISAは「つみたて投資枠」、一般NISAは「成長投資枠」に移行され、ジュニアNISAは2023年度末で廃止となりました。
旧NISAと新NISAの違いについては、以下の関連記事で詳しく説明しています。
関連記事)2024年から新NISAがスタート!旧NISAとの違いをわかりやすく解説
https://toranochie.com/column/start_new-nisa/
新NISAの利用動向
日本証券業協会によると、2024年12月末時点のNISA口座数は2,560万口座です。新制度開始後の2024年1月~12月で、436万口座増加しました。新NISAをきっかけに、多くの人が口座を開設したことがわかります。
出典:日本証券業協会「NISA口座の開設・利用状況(2024年12月末時点) 【速報版】」
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/files/nisajoukyou/new_nisaall.pdf
ここでは、日本証券業協会が実施した「新NISA開始1年後の利用動向に関する調査結果(速報版)について」をもとに、新NISAの利用動向を見ていきましょう。
利用者数・平均購入金額
調査対象者7,610人のうち、投資枠別の利用者数と平均購入金額の状況は以下のようになっています。
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
利用者数 | 6,008人(78.9%) | 5,408人(71.1%) |
平均購入金額 | 47.3万円 | 103.3万円 |
つみたて投資枠と成長投資枠のどちらも、年齢が上がるにつれて非課税枠いっぱいまで購入している割合が高くなる傾向がみられます。また、「年収300万円未満」の利用者の割合が最も多く、幅広い年収帯で利用されているのも同じです。
利用者の年収分布
新NISA利用者の年収分布は、「年収300万円未満(39.7%)」の割合が最も高く、次いで「300万円~500万円未満(27.7%)」、「500万円~700万円未満(17.1%)」となっています。年収500万円未満の人が、新NISA利用者全体の7割近くを占めている状況です。
購入資金
新NISAにおける購入資金については、「預金・給与所得・年金(74.9%)」が最も高くなっています。一方で、「旧NISAの保有銘柄の売却資金(12.8%)」や「課税口座(NISA以外)の保有銘柄の売却資金(11.2%)」の割合は低いです。
この結果から、新NISAではもともと保有していた金融資産の売却資金よりも、収入の一部を投資に回しているケースが多いといえます。
参考にした情報
新NISAの取引にあたって参考にした情報は、ネット証券と対面型証券で差がみられます。
ネット証券利用者は、「SNSや動画サイトを通じた情報(33.6%)」が最も高く、次いで「証券会社からのインターネットを通じた情報(23.6%)」となっています。それに対して、対面型証券利用者は、「対面証券会社の担当者からの説明(27.3%)」「新聞やテレビ、ラジオからの情報(23.4%)」が上位です。
なお、ネット証券利用者と対面型証券利用者のどちらも、一定数(12%程度)は「家族からの意見やアドバイス」を参考に取引を行っています。
出典:日本証券業協会「新NISA開始1年後の利用動向に関する調査結果(速報版)について」
https://www.jsda.or.jp/houdou/2025/20250212_nisa.pdf
新NISA利用者の運用状況
新NISAを利用している人たちは、どのような投資成果を得ているのでしょうか。同じ調査結果から、新NISA利用者の損益状況や売却状況、購入銘柄の傾向を紹介します。
2024年中の損益状況
新NISAにおける2024年中の損益についての回答結果は以下の通りです。
プラス | マイナス | わからない (把握していない) |
|
つみたて投資枠 | 82.8% | 2.3% | 14.9% |
成長投資枠 | 70.2% | 12.2% | 17.6% |
損益状況のプラス・マイナスは、継続保有している銘柄の含み損益、売却した銘柄の損益、受取配当金・分配金を合算したものです。
つみたて投資枠は約8割、成長投資枠は約7割の利用者が、損益状況はプラスと回答しています。また、損益状況がマイナスの割合は、つみたて投資枠は2.3%にとどまりますが、成長投資枠は12.2%となっています。
2024年中の売却状況
新NISAにおける2024年中の売却状況について、1銘柄も売却していない人の割合は、つみたて投資枠が83.2%、成長投資枠が75.3%となりました。1人あたりの平均売却銘柄数は、つみたて投資枠が0.3銘柄、成長投資枠が0.6銘柄となっています。
つみたて投資枠のほうが、成長投資枠よりも中長期的な視点で運用される傾向にあるといえます。
購入銘柄のタイプ
新NISAにおける2024年中の購入銘柄のタイプは、つみたて投資枠と成長投資枠で違いがみられます。
つみたて投資枠は、「全世界株式(日本を含む)のインデックス型投資信託」が36.8%を占めています。また、「全世界株式(日本を除く)のインデックス型投資信託」も18.5%で、国内外の株式に幅広く分散投資を行っています。
一方、成長投資枠は、「日本国内株式」が48.8%で約半数を占めています。成長投資枠では、国内の上場企業に資金が流入している傾向にあります。
出典:日本証券業協会「新NISA開始1年後の利用動向に関する調査結果(速報版)について」
https://www.jsda.or.jp/houdou/2025/20250212_nisa.pdf
新NISAで運用する際の3つのポイント
新NISAで順調なスタートを切った方も、これから始める方も、将来に向けて資産形成を成功させるには以下3つのポイントを意識することが大切です。
時間を味方につけて資産形成を継続する
投資をしていると、一時的に相場が急激な下落に見舞われることもあります。例えば、2008年のリーマン・ショック時には「100年に一度の危機」といわれました。また、2020年にはコロナショック、2025年4月にはトランプショックも発生しています。
しかし、過去の市場動向を振り返ると、短期的には大きく下げる場面はあっても、長期的には右肩上がりに成長してきました。
直近の下げ相場だけを見て判断せず、長期的な視点でコツコツ投資を継続していくことが重要です。国内外のさまざまな資産に分散投資を行い、積立投資を長く続けることによって、価格変動リスクを抑えながら安定的に資産を作ることができます。
参考:時間を味方につけて資産形成を継続しよう
https://app.toranoko-faq.com/how-to-use/long-term/
株式市場の変動要因を理解する
長期的な視点でコツコツ投資を継続するメリットは、市場の短期的な動きに一喜一憂せずに済むことです。
例えば、毎月一定額の投資を続けることによって、相場が上がっているときは少ない量を、下がっているときは多い量を購入することになるため、長期的には購入価格の平準化が期待できます。
とはいえ、株式市場の変動要因を理解して運用状況を把握することは、自身の資産を管理するうえで重要なことです。経済ニュースや金融機関が提供する情報などに目を通し、なぜ市場が動いたのかを確認する習慣をつけるとよいでしょう。
参考:【トラノコ活⽤法】ウィークリー解説でファンドの動きを理解しよう
https://app.toranoko-faq.com/how-to-use/weekly-comment/
投資の目標やイメージを持つ
長期投資が重要であることはわかっていても、まとまった資産を作るには時間がかかるため、「コツコツ投資を継続するのは難しい」と感じる人もいるかもしれません。
長期的な視点でじっくり運用するには、投資の目標や資産が将来いくらになるのかイメージを持つのが有効です。
金融機関などが提供しているシミュレーションツールを使えば、コツコツ投資を続けた場合、資産がどれくらい増える可能性があるのかを簡単に把握できます。そのシミュレーション結果をもとに、投資の目標を考えてみるとよいでしょう。
参考:【トラノコ活用法】シミュレーションで資産の成長をイメージしよう
https://app.toranoko-faq.com/how-to-use/simulation/
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新NISA(成長投資枠)にも対応しており、運用収益に対する税金が0円になるのも魅力です。新NISAを検討しているなら、無理なく簡単に投資を続けられる「トラノコNISA」を始めてみませんか。
まとめ
新NISAが開始してから1年以上が経過し、多くの人が利用し資産形成を行っています。投資にはリスクがありますが、新NISAを利用するなどして、長期的な視点でコツコツ投資を心掛けましょう。