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投資の種類には何がある?押さえたい投資手法や初心者向けの商品も

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※この記事は2021年11月26日時点の内容となります。最新のNISAに関してはこちらの記事をご参照ください。

資産を増やす方法の一つ『投資』には、どのような種類があるのでしょうか?基本的な知識や金融商品の種類を、リスクの度合い別に紹介します。これから投資を始めるなら、リスクを抑えて運用できる投資手法も事前に知っておきましょう。

まずは投資の基本を理解しよう

商品について知る前に、まずは投資とは何なのか基礎的な知識を学びましょう。投資で得られるリターンと発生するリスクの関係も解説します。どのような利益が得られるのかも、投資を始める上で確認しておきたいポイントです。

「投資」とは利益を見込んで資産を投じること

『投資』は漢字の意味が表す通り、資産を投じることです。投資の対象となる金融商品は株式だけでなく、国や企業が発行する債券や投資信託・不動産など多数の種類があります。

金融商品を自分の資金で購入し、値動きによって発生する利益を見込む方法が一般的です。金融商品の価値には日々変化があり、購入時より価値の上がる商品を選ぶと利益が生まれます。

状況によって値下がりの可能性もあるため、あくまでも『利益が得られると予測したもの』にお金を投じるのが投資です。

よく投資をギャンブルと同じようなものと考える人もいますが、行う目的に違いがあります。娯楽の側面が強いギャンブルと違い、投資には投資先の会社や国に出資して発展を助ける目的もあるのが特徴です。

リスクとリターンの関係

投資商品には選ぶ金融商品の種類にかかわらず、リスクとリターンがあります。リスクにはさまざまな種類があり、商品の価格が変動する価格変動リスクや投資先が財政難や経営危機により投資家のお金を返金できない信用リスク、すぐに現金化できない流動性リスクなどがあります。

リスクとリターンは基本的には比例します。リスクが高いものほど値動きが大きく、リターンも大きくなります。リスクが低い商品は、値下がりの可能性が低い分戻ってくる金額も少ないでしょう。

商品の種類や銘柄を選ぶときは、過去の価値変動も確認してリスク・リターンを測りましょう。

投資で得られる利益の種類

保有していた金融商品を売却・譲渡したとき、購入時点よりも価値が上がっていれば『キャピタルゲイン(売却益・譲渡益)』を得られます。買ったときとの差額がプラスになって戻ってくるのです。

対して、一定期間の保有によって得られる利益が『インカムゲイン』です。インカムゲインである配当金や分配金を設定している銘柄なら、売却しなくても持っているだけで利益を得られます。

長期的な保有で安定した利益を望むのであれば、インカムゲインを得られる銘柄を選ぶのがおすすめです。

ただ配当金も分配金も、投資先の情勢が下向きになると当初の予定通り支払われない可能性に注意しましょう。

初心者が知っておきたい投資手法

投資の経験が浅い人が金融商品の運用を考えるとき、知っておきたいのがリスクを軽減できる運用手法です。代表的な三つの方法をチェックして、投資の第一歩を踏み出す準備を始めましょう。

安定性と複利効果がメリット「長期保有」

できるだけ長く投資商品を保有するのは、投資初心者におすすめの手法です。商品は低リスクなものを選びましょう。

投資商品は毎日価値が変わっています。一時的に大幅な値下がりに直面するケースもあるでしょう。そのとき慌てて売却するとマイナスが出てしまいます。そのまま保有していると、利益の出る売却タイミングを狙えるはずです。

長く保有していることで、分配金や配当金を再投資に回せるのも長期保有のメリットです。保有期間が延びれば配当金・分配金の受け取り回数も増え、元手となる資金が大きくなっていきます。

下落による損失をカバー「資産の分散」

投資先を一つに限定してしまうと、価値が下落したときのリスクが大きくなります。投資した商品が大幅に値下がりすると、また価値が上がるまで待つ以外に損失を埋める手段がありません。

値下がりのリスクに備えるには、資金を投じる対象を分ける『分散投資』を意識しましょう。例えば日本株と、日本の市場に影響されない外国株を組み合わせるといった方法です。

できるだけ多くの金融商品に資産を分散させると、特定の商品が下落しても他の商品は値下がりせずダメージを軽減できます。株や債券といった有価証券だけでなく、価値変動の少ない金やプラチナなどにも資産を分けるのが理想です。

元手が少ないならプロが複数の商品を運用する投資信託を購入して、間接的にいくつもの投資先へ資産を分散させる方法もあります。

購入価格を平均化「投資時期の分散」

投資手法の一つに『積立投資』があります。時期をずらして少額投資を積み重ねる方法です。手動で不定期に積立購入するケースもあります。

どちらの場合でも、時間をずらすことで購入時点の価格が平均化され、買うときの平均価格を引き下げられるのがメリットです。購入タイミングが分からない初心者ほど、時間をずらした分散投資の効果は大きいでしょう。

また高い時期にまとめて購入すると、値下がりしたときに大きな損失を抱えてしまいます。積立購入で時間を分散させていれば、安い時期にも購入することになり、下落のリスクに備えられるのです。

初心者に向いている金融商品の種類

投資経験が少なくリスク低減を重視したい人には、リスク・リターンともに小さい商品がおすすめです。初心者にもおすすめできる金融商品三つの特徴を、それぞれ詳しく見ていきましょう。

堅実な資産運用を目指せる「債券」

国債・個人向け社債といった『債券』は、比較的ローリスクな投資商品の一つです。投資家は国や会社が発行する借用証書である債券を購入し、資金を貸します。

企業が発行する社債は株式と違って、満期が来れば基本的に元本が返済されるのが特徴です。満期までに一定の利率で利息が支払われ、安定したインカムゲインを得られます。

ただし債券は株式よりも値動きが小さいため、満期までに売却しても大きな利益は期待できません。その代わり下落したときの損失は小さく、堅実な運用をしたい人に向いています。

債券の発行元が信頼できる組織なら、元本が返済されないリスクも低いでしょう。倒産の恐れがなく安定した企業の社債は買いたい人が多いため、満期前に資金が必要になったとき売却しやすいというメリットもあります。

運用をプロに任せられる「投資信託・ETF」

株式や債券の購入・売却タイミングが分からないときは、投資信託(ファンド)の購入が向いています。投資信託は複数の投資家から資金を集めて、ファンドマネジャーが株や債券を運用する金融商品です。

銘柄の選定から運用までプロに任せられるため、経済の動向に詳しくない・自分で売買する自信がないという人も始めやすいでしょう。

投資信託には日経平均株価・TOPIXといった指標への連動を目指す『インデックスファンド』と、指標を超えた成績を目指す『アクティブファンド』があります。

リターンよりもリスク軽減を重視したいなら、値動きの分かりやすいインデックスファンドがおすすめです。ETF(上場投資信託)も投資信託の一つで、基本的に指数と価値が連動します。

円預金より金利が高い「外貨預金」

米ドル・ユーロなどの外貨を預ける『外貨預金』は、日本円に比べると金利が高く設定されています。国にもよりますが、新興国では高金利を期待できるでしょう。預け入れているだけでも日本の銀行より増えやすいのが特徴です。

また外貨は常に価値が変動しています。日本円と比べたときの相対的な価値が変わるのです。外貨が日本円換算でいくらになるかを示す指数が『為替レート』で、日本円の数値が高ければ『円安』・逆なら『円高』と読み取れます。

外貨預金は円高のときに預金して円安のときに戻すと、利益を得られる仕組みです。1ドル100円のときに預け入れた資産が100万円ある場合、1ドル115円になったタイミングで円に戻せば15万円の利益が得られます。

リスクが高めの金融商品

損失が大きくなる可能性があっても資金を積極的に増やしたい投資家は、リスク・リターンともに大きい商品を選びます。

ただ投資初心者にとっては、運用が難しい種類でしょう。株式売買やFX・先物取引がハイリスク・ハイリターンな金融商品の代表例です。それぞれどのような商品なのでしょうか?

知識がないと分析が難しい「株式」

『株式』は企業が資金を集めるために発行する有価証券で、株式市場に上場しています。株の購入は企業への出資と同じ意味です。

株式は会社別に銘柄が設定されるため、企業に対する知識がないと適切な銘柄選びや運用ができません。常に投資先となる企業についてアンテナを張っておかないと、値下がりするのか値上がりするのか予測しにくくなります。

データで見られる業績だけでなく、悪いニュースや突発的なトラブルが株価に関係してくる点も株の売買を難しくするポイントです。

経済の動向だけでなく細かな情報もキャッチできる姿勢がなければ、暴落する前に売って損失を抑えるというリスク管理ができません。

株の売り買いを考えている人は、ニュースや経済誌をよく見るくせを付けましょう。1株から購入できる単元未満株で運用を試してみるのも、株取引の第一歩を踏み出す方法です。

大きな損失を出しやすい「FX」

『FX』は外貨に投資する金融商品です。為替の売買を通じて利益を出します。FXの最大の特徴は、『レバレッジ』の設定です。

レバレッジの倍率を変えると、FX口座に預け入れた金額より多くの資金を運用できます。その代わり外貨が値下がりしたとき、手持ち資金以上の損失が出る可能性があるのです。

投じた資金が大きいほど、値下がりによる損失は大きくなります。大きなリターンも期待できますが、初心者のうちは手持ち資金以上のお金を投資に回すのは割けた方がよいでしょう。

期間内の決済が必要な「先物取引」

『先物取引』は名前からも伺えるように、特定の商品に対して未来の売買をあらかじめ決めておく取引の手法です。

例えば1カ月後に500円で購入すると決めておきます。1カ月後に市場価格が700円以上に上がっていても、先物取引なら500円で購入が可能です。しかし購入後にすぐ売ればそのときの価値は700円なので、200円の利益が出ます。

もちろん市場価格が下がっていた場合、もうけは出ません。取引できる期間が定められているのも、初心者にとっては難しい要素です。期限が来れば自動的に決済されてしまうため、売るタイミングを逃すと利益を得るチャンスを失ってしまいます。

先物取引もFXと同様に、手持ち資金以上のレバレッジ取引ができる投資です。その分リスクも大きくなるため、投じた資金を減らさないスキルが求められます。

比較的新しい投資の種類

少額から投資ができる『ポイント投資』や、企業応援の意味合いが強い『ソーシャルレンディング』は近年始まった投資の手法です。初心者が利用しやすいサービスもあるので、特徴を知っておきましょう。

少額で始められる「ポイント投資」

『ポイント投資』はカードやネットショッピングのサービスなど、手持ちのポイントを使って投資をする方法もあります。

ポイントは買い物やポイ活で還元される、疑似通貨のようなものです。通常は投資に利用できませんが、ポイントを使える投資サービスも増えています。現金と組み合わせることで、自由度の高い投資ができるでしょう。

投資に使うサービスによって、使えるポイントの種類は異なります。おつりやポイントで投資できるトラノコでは、5円相当のポイントという少額から投資信託のスタートが可能です。

nanacoやANAマイルをはじめ、身近なポイントから使える種類をそろえています。元手になる資金が少ないけれど投資を始めてみたいという人は、資産形成の第一歩として活用してみましょう。

トラノコ|長期分散投資アプリ

企業に貸し付ける「ソーシャルレンディング」

『ソーシャルレンディング』とは、企業または個人がインターネットで資金を募るクラウドファンディングの一種です。

投資家はお金を貸し付け、返済期限まで金利を受け取ります。債券と同じようなシステムと考えておきましょう。資金を集めたい企業や個人が利用することもあり、金利は比較的高い傾向です。

しかし倒産や会社のトラブルで、元本が保証されないリスクはあります。投資先の企業がしっかりしているか、見極めてからお金を貸しましょう。

投資には節税できる制度を活用しよう

投資で手に入る金額を大きくしたいなら、余計なコストをかけないのも重要です。非課税制度である『NISA(ニーサ)』や個人で積み立てる拠出型の年金『iDeCo(イデコ)』の概要を押さえて、節税対策までしっかり準備しておきましょう。

年間120万円までの非課税枠「NISA」

投資の売却益や配当金・分配金には、通常20.315%の税金が課せられます。積み重なると大きなコストです。

しかし国が定めた投資優遇制度の『NISA』を活用すると、投資の利益には一定額まで税金がかかりません。売却や譲渡で得た利益・配当金や分配金、どちらも非課税になります。

NISAの非課税枠は年間120万円までです。120万円までの資産を非課税で保有できるのは最長5年で、最大600万円の金額を課税されずに持っていられるのです。

証券会社を選んでNISA用口座を作れば、非課税枠を使った取引を始められます。NISA制度には非課税枠が年40万円で、20年間非課税で保有できる『つみたてNISA』もあります。

※なお、2024年1月から新NISA制度が始まり、「つみたてNISA」の名称は「つみたて投資枠」へ、非課税の年間投資上限額が年120万円となり、非課税保有期間も無期限となりました。

NISAとは?|金融庁

掛け金が全て非課税になる「iDeCo」

『iDeCo』は期間を定めて投資を続ける積立型の私的年金制度です。『個人型確定拠出年金』とも呼ばれます。

自分で対象の投資商品を選び、毎月5000円から積み立てて運用する仕組みです。原則解約して資金を手元に戻せるのは60歳になってからなので、老後の資産づくりに活用する制度と考えておきましょう。

iDeCoで拠出した掛け金は、全て控除の対象です。節税対策をしながら老後の備えを進めたいなら、積極的な活用がおすすめです。

企業型の確定拠出年金には、iDeCoと併用できないものもあります。会社で拠出型年金に加入していてiDeCoを使いたい場合は事前に確認しておきましょう。

iDeCo公式サイト|iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)【公式】

まとめ

投資には、多くの種類があります。初心者向けのものだけでなく、リスクが高い商品もあるため選び方は重要です。

投資全般において、大きなリターンを狙える金融商品にはそれなりのリスクもあるということを覚えておきましょう。

できるだけリスクを抑えて資金を増やしたいなら、値動きの少ない債券や自分で個別銘柄を売買せずに済む投資信託・外貨の価値で利益を狙う外貨預金がおすすめです。

近年注目を集めている投資の手法としては、ポイント投資やソーシャルレンディングもあります。元手をかけずに始められるポイント投資は、投資を学ぶきっかけにもなるでしょう。

節税に使えるNISAやiDeCoといった制度もうまく活用しながら、これから先も安心して暮らせるような資産形成を進めましょう。

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