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収入と所得の違いとは?計算方法や扶養内で働くポイントを解説

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収入と所得は似ていますが違うものです。所得の計算方法を知り、収入と所得ではどのような違いがあるのか確認しましょう。所得金額は配偶者控除や働き方にも影響します。扶養内でパートとして働く場合、どのくらい働けるかもチェックしましょう。

収入と所得の違いを簡単に解説

収入と収入を得るためにかかった費用が分かれば、所得を計算できます。二つの数字にはどのような違いがあるのでしょうか?また所得税法上10種類ある所得の種類も紹介します。

個人事業主は収入から経費を差し引くと所得

個人事業主の場合『所得=収入-必要経費』で計算できます。収入は入ってくるお金の全てであり売り上げです。ここから収入を得るために使ったお金である経費を差し引くと、所得が分かります。

同じ収入500万円でも、必要経費が50万円なら所得450万円ですが、必要経費が400万円であれば所得は100万円です。収入より必要経費が多ければ、たくさん収入があったとしても赤字になってしまい、所得はゼロになるでしょう。

そのため所得は、稼いで得たお金のうち、実際に使える金額といえます。また所得税を計算する元になる金額です。

所得には10種類ある

収入から経費を差し引いて計算する所得は、所得税法によって以下の『10種類』に分けられています。

  • 利子所得:預貯金や公社債の利子など
  • 配当所得:株主が法人から受け取る配当など
  • 不動産所得:不動産の貸し付けによる所得のうち事業所得・譲渡所得以外のもの
  • 事業所得:事業から生じる所得
  • 給与所得:会社員などが勤務先から受け取る所得
  • 退職所得:会社員などが勤務先から受け取る退職手当や厚生年金保険法に基づく一時金など
  • 山林所得:所有期間が5年を超える山林を伐採もしくは立ち木のまま譲渡したときの所得
  • 譲渡所得:資産の譲渡による所得
  • 一時所得:上記のどれでもなくいくつかの条件を満たした一時的な所得 (※懸賞の賞金品・法人から贈与された金品など)
  • 雑所得:公的年金や副業に係る所得など上記9種類のどれにも該当しない所得

例えば個人事業主の所得は事業所得です。会社員やパート・アルバイトなら給与所得を受け取っています。

参考:No.1300 所得の区分のあらまし|国税庁

会社員の収入と所得は?

個人事業主の所得は事業所得で、収入から必要経費を差し引いて計算すると分かりました。では会社員の所得である給与所得は、どのように計算するのでしょうか?

会社員が受け取るのは給与収入

会社員の収入は、会社から支払われる金額の総額、すなわち『給与収入』です。給与収入には『月給』『賞与』のほかに『残業手当』『休日出勤手当』『職務手当』『家族手当』『住宅手当』などの各種手当も含まれます。

また会社の保有する土地や建物を無償もしくは低価格で借りた場合や、無金利や低金利で会社の金銭を借りた場合、会社の商品を無償もしくは低価格で受け取った場合にも、現物支給として給与収入に含まれる可能性があります。

差し引くのは給与所得控除

所得を計算する際、会社員の場合には『給与収入-給与所得控除額』で計算します。会社員として働いていると、仕事用のスーツや靴・筆記用具などを自己負担で購入することがあるでしょう。

仕事のために使った費用は、個人事業主であれば確定申告をする際に必要経費として収入から差し引けます。しかし会社員は、原則として源泉徴収によって税金を支払うため、経費を差し引く仕組みがありません。

そのため収入額によって決められている給与所得控除を差し引きます。例えば給与収入が400万円であれば、給与所得控除は『収入金額×20%+44万円』に当てはめ、124万円です。

『400万円-124万円=276万円』が給与所得と分かります。

参考:No.1410 給与所得控除|国税庁

金額は源泉徴収票で確認できる

会社員の給与収入や給与所得控除額は、自分で計算しなくても『源泉徴収票』で確認できます。源泉徴収票に記載されている内容は以下の通りです。

  • 支払金額
  • 給与所得控除後の金額
  • 所得控除の額の合計額
  • 源泉徴収税額

このうち支払金額は給与収入を、給与所得控除後の金額は給与所得を意味しています。源泉徴収票の作成は会社の経理担当部署が担当しており、12月末に発行されるのが一般的です。紛失した場合、経理担当部署に依頼すれば再発行されます。

扶養内で働くパートの収入と所得は?

パートで働いて得るのも会社員と同じ給与収入です。そのため『給与収入-給与所得控除』で計算でき、源泉徴収票によって収入を確認できます。ここでは扶養内でパートをする場合に考慮が必要な収入や所得金額を確認しましょう。

扶養内で働くなら収入は103万円まで

扶養内で働くというと、一般的に給与収入『103万円』までを指すケースがほとんどです。パートで働く場合にも、フルタイムの会社員と同じように、給与所得控除が認められています。

給与収入103万円であれば、給与所得控除額は55万円です。控除額を差し引くと、給与所得は48万円と分かります。加えて所得税を計算するときには、基礎控除『48万円』も差し引ける決まりです。

計算の結果、所得は0円となるため、給与収入103万円までは扶養内といわれています。

参考:No.1199 基礎控除|国税庁

扶養内なら所得税も保険料もかからない

給与収入103万円までの扶養内であれば、給与所得は0円とみなされると分かりました。0円であれば所得税はかかりません。また社会保険へも加入しないため、保険料の負担も不要です。

加えてパートで働く妻もしくは夫の配偶者は、合計所得金額1,000万円以下であれば『配偶者控除』を受けられます。例えば妻が扶養内のパートとして働く合計所得金額500万円の夫は、38万円の配偶者控除の対象です。

パートで働く妻もしくは夫の配偶者の勤務先に、福利厚生として配偶者手当がある場合も、パートの給与収入103万円までを対象としているケースが多いでしょう。

まとめ

所得は収入から必要経費を差し引いた金額です。会社員の場合は必要経費を差し引く仕組みがないため、給与収入から給与所得控除を引いて計算します。

パートでも所得の計算方法は会社員と同様です。所得税や保険料の負担がない扶養内でパートとして働くなら、所得給与控除と基礎控除の合計額である給与収入103万円が上限となります。

収入と所得の違いを把握すれば、家計にとって最適な働き方を実現できるはずです。

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