不動産投資とREITの違いは?それぞれの仕組みをわかりやすく解説
公開日:個人でもできる不動産投資の方法として、「実物不動産投資」と「REIT(不動産投資信託)」の2つが挙げられます。不動産投資を検討しているなら、両者の仕組みを理解して、自分にあった方法を選択することが大切です。今回は、実物不動産投資とREITの違いをわかりやすく解説します。
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実物不動産投資とは
実物不動産投資とは、区分マンションやアパートなどの実物不動産に投資して利益を得る方法です。実物不動産投資で得られる利益には、以下の2種類があります。
- 家賃収入
- 売却益
投資した不動産を貸し出すことで、入居者から毎月家賃を受け取ることが可能です。購入時より高値で売却できた場合は、購入価格と売却価格の差額が利益となります。
不動産は価格が高額であるため、金融機関の融資を利用して物件を購入するのが一般的です。
実物不動産投資のメリット
実物不動産に投資することによって、次のようなメリットが期待できます。
- 毎月安定した家賃収入を得られる可能性がある
- 不動産価格の値上がりにより売却益を得られる可能性がある
- 融資を利用することで効率的に資産を増やせる可能性がある
入居者がいれば毎月家賃が入ってくるため、副収入の確保を目的として始める人が多くいます。不動産価格が将来値上がりすれば、売却益を得られるかもしれません。
金融機関からの借入金で物件を購入し、家賃収入で返済を進めることで、自己資金のみよりも効率的に資産を増やせる可能性があります。
実物不動産投資のデメリット・リスク
実物不動産投資は良いことばかりではありません。以下のようなデメリット・リスクがあり、失敗すると大きな損失が生じる可能性もあります。
- 空室・家賃滞納リスクがある
- 災害リスクがある
- 不動産価格が下落すると売却損が生じる
- 物件管理に手間がかかる
退去が発生して空室になったり、入居者から家賃を滞納されたりすると、家賃収入を得られません。投資対象が実物不動産のため、地震や台風などの災害で建物に被害が出る恐れもあります。
実物不動産は、不動産市況や築年数などの影響で価値が変動します。値上がり益が期待できる一方で、購入時より価格が下落すれば売却時に損失が出ます。
また、物件購入後は家賃の回収や退去手続き、入居者募集、賃貸借契約などの賃貸管理業務が生じます。管理会社に委託することも可能ですが、費用がかかる点に注意しましょう。
REITとは
REITとは、Real Estate Investment Trustの略称で不動産投資信託のことを意味します。
多くの投資家から集めた資金でオフィスビルや商業施設、マンションなどの不動産を購入し、その賃貸収入や売却益を投資家に分配する金融商品です。もともとは米国で生まれた仕組みで、日本ではJapanのJをつけて「J-REIT」と呼ばれています。
REITは証券取引所に上場しており、上場株式と同じように取引できるのが特徴です。年1、2回程度の決算ごとに、投資口数に応じた分配金を受け取れます。
J-REITの場合、「収益の90%超を分配する」などの一定の条件を満たすと、実質的に法人税がかからない仕組みがあるため、分配金利回りは高い傾向にあります。
REITのメリット
REITのメリットは以下の通りです。
- 少額から不動産に投資できる
- さまざまな不動産への分散投資が可能
- 値上がり益や分配金収入が期待できる
- 物件管理を専門家に任せられる
区分マンションなどの実物不動産を購入するにはまとまった資金が必要ですが、REITなら数万円程度から投資できます。さまざまな不動産への分散投資が可能で、リスク軽減が期待できるのも魅力です。
REITは株式と同じように、日々価格が変動します。購入時より価格が上昇したタイミングで売却すれば、売却益を得られます。入居者からの賃料などをもとに利益の分配が行われ、安定した分配金収入が期待できるのもメリットです。
投資対象物件の管理は専門家に任せられるため、時間や手間をかけずに不動産投資を行えます。
REITのデメリット・リスク
REITのデメリットは、以下のようなリスクがあることです。
- 不動産市場のリスク
- 金利変動リスク
- 上場廃止リスク
政治・経済情勢などの影響を受けて不動産価格や賃貸需要、金利環境などが変化すると、REITの価格や分配金の低下を招くかもしれません。購入時より価格が低下すれば、売却時に損失が生じてしまいます。
REITを運営する不動産投資法人は、投資家からの出資金だけでなく、金融機関の融資も利用して資金調達を行っています。市場金利が上昇すると支払利息が増えるため、金利変更はREITの収益に影響を与えます。
証券取引所の上場基準に抵触し、上場廃止になることがあれば、取引が困難になる可能性がある点にも注意が必要です。
実物不動産投資とREITの違い
以下は、実物不動産投資とREITの比較表です。
実物不動産投資 | REIT | |
投資対象 | 居住用不動産 | 投資証券 |
必要資金 | 数百万円~ | 数万円~ |
利回り | 物件によって異なる | 利回りが比較的安定的 |
流動性 | 低い | 高い |
物件管理 | 必要 | 不要 |
融資 | 利用できる | 利用できない |
確定申告 | 必要 | 口座によっては不要 |
ここからは、項目別に実物不動産投資とREITの違いを確認していきましょう。
投資対象
実物不動産投資では、主に区分マンションなどの居住用不動産を購入します。個人の場合、収益不動産を扱う不動産会社から物件を紹介してもらうのが一般的です。
REITは不動産ではなく、不動産投資法人が発行する投資証券を購入します。投資証券を購入することによって、不動産投資法人が運用する不動産から得られる利益をもとに分配を受けられます。
必要資金
実物不動産は、物件によって数百万円~数億円と価格に差があります。金融機関の融資を利用しても、頭金としてまとまった資金を準備しなくてはなりません。
REITは数万円程度の少額から投資可能です。最低投資金額は銘柄によって異なりますが、10万円台で購入できる銘柄が多くあります。
利回り
利回りとは、投資金額に対する収益の割合です。実物不動産投資の場合、物件価格に対する家賃収入の割合を意味します。実物不動産投資の利回りは、物件によってさまざまです。10%を超える高利回りも狙えますが、一般的には利回りが高いほどリスクも高まります。
銘柄によって差があるため、投資前に分配方針や実績などを確認しておくといいでしょう。
流動性
実物不動産を売却するには、不動産会社に仲介を依頼して買い手を見つけなくてはなりません。そのため、決済完了まで3か月~半年程度かかることもあります。
REITは証券取引所に上場しており、市場が開いている時間帯であればいつでも売却できます。速やかに現金化できるため、実物不動産より流動性は高いといえるでしょう。
物件管理
実物不動産投資では、購入後に物件を管理しなくてはなりません。家賃の回収といった通常業務に加えて、入居者からのクレーム対応や設備の交換、建物の修繕も必要です。副業として取り組むなら、管理会社に委託するのが現実的といえるでしょう。
REITの場合、物件管理は不動産投資法人に任せられます。
融資
実物不動産投資では、物件購入の際に金融機関の融資を利用できます。自己資金より大きな額の投資を行えるため、うまく運用できれば効率的に資産を増やせます。ただし、融資を受けるには金融機関の審査を通過しなくてはなりません。
REITは融資を利用できないため、投資金額が少ないうちは、大きな利益は期待できないでしょう。
確定申告
実物不動産投資では、家賃収入は「不動産所得」、物件の売却益は「譲渡所得」として確定申告が必要です。不動産所得は総合課税の対象で、他の所得(給与所得、事業所得など)と合算して所得税額を計算します。譲渡所得は分離課税で、他の所得と分離して所得税額を計算するのが特徴です。
REITは、特定口座(源泉徴収あり)や運用益が非課税になるNISA口座で売買すれば、確定申告は原則不要となります。
参考:
No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)
No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)
実物不動産投資とREITはどっちがおすすめ?
実物不動産投資とREITは仕組みやメリット・デメリットが異なるため、どちらが向いているかは運用方針によって変わってきます。
実物不動産投資が向いている人
実物不動産投資は、次のような希望・目的がある場合に向いているでしょう。
- 安定した定期収入を期待したい
- 投資対象物件を自分で選びたい
- 融資を活用して自己資金より大きな額の投資を行いたい
実物不動産投資は、入居者がいれば毎月家賃が入ってくるため、給与や公的年金以外の定期収入を確保したい場合に適しています。
専門家に任せず自分で投資物件を選びたい人、融資を活用して効率的に資産を増やしたい人も実物不動産投資がおすすめです。
REITが向いている人
REITが向いている人の特徴は以下の通りです。
- 少額から不動産投資を始めたい
- さまざまな物件に分散投資したい
- いつでも現金化できるようにしておきたい
REITなら10万円程度から投資を始められ、個人では購入が難しいオフィスビルや商業施設などにも投資できます。証券取引所ですぐに売却できるため、速やかに現金化したい場合にも向いているでしょう。
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