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クーポンとは?金融用語としての意味や語源も紹介

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クーポンというと、おそらく多くの方がお買い物の割引券や優待券を想像するでしょう。しかし、クーポンはそれ以外の意味も持ち、金融の世界では債券の利息のことを意味します。クーポンの語源や種類も確認してみましょう。

語源は「切り取る」という意味のフランス語

英語ではcouponと綴るクーポンの語源は、「切り取る」という意味を持つフランス語“couper”。クーポンには色々な種類があり、もともとは「切り取る」という行為を表す言葉から生じているものの、現在は割引券や優待券を幅広く「クーポン」と表現されています。

アメリカのクーポン文化

人びとが新聞やチラシのクーポンをたくさん切り抜いて買い物に行く際に持って行くことが当たり前であったクーポン大国、アメリカ。そのクーポンの歴史は古く、今から130年以上前の1887年にコカ・コーラ社が「コカ・コーラ1杯無料券」を配布したのが米国のクーポン社会の起源とされています。そのマーケティング戦略が功を奏し、コカ・コーラはその8年後にはアメリカのすべての州で販売されていたそうです。

その後、1930年代の大恐慌時代に、少しでも倹約する方法を見出す大衆に支持され、クーポンが米国社会に浸透していきました。1940年代以降、大型スーパーチェーンが顧客獲得のためにクーポンを提供するようになり、買い物する際にクーポンを使うことが当たり前の消費社会を築いていきました。デジタル化により、チラシの切り抜きからアプリに変わっていっているものの、クーポンを使ってお得に買い物をするという文化は健在です。

投資の世界では、クーポンは債券の利息

一方、投資の世界では、債券の利息のことをクーポンと言います。クーポンと呼ばれるようになった背景をみていきましょう。

債券の利札としてのクーポン

今では一般的に流通する債券は電子化されていますが、紙の証券であった時代、債券の券面には期間中に支払われる利息ごとに引換券として機能する利札が印刷されていました。投資家はその利札を1枚ずつ切り取って金融機関に持ち込むことで利息の支払いを受けることができました。

クーポンが英語で使われた初めての記録は1822年。1枚ずつ切り離す債券の利札のことを指すようになり、クーポンという呼び名が定着していきました。債券が電子化された今日でも、債券の利息はクーポンと呼ばれています。

債券発行時に決まるクーポンレート

利付債券の利息は、額面金額に対して毎年支払われるものとして発行時に決まっています。その利率のことを金融業界ではクーポン、あるいはクーポンレートと言います。例えば、ある債券のクーポンが3%だとすると、その債券は償還するまで額面100円に対して、年間3円の利息が支払われます。

債券の券面に記載されている率であるため、表面利率とも呼ばれています。債券は市場で売買できますが、クーポンレートは、債券の購入金額ではなく額面金額に対する利息の割合であることを間違えないようにしましょう。

利払いが行われない債券、ゼロクーポン債

債券の残存期間中、利払いが行われない債券のことをゼロクーポン債と言います。ゼロクーポン債は、発行価格と額面価額の差が利息に相当します。額面金額より割り引いて発行されるため、別名では割引債やディスカウント債とも呼ばれています。

まとめ

クーポンは、もともと紙の一部を切り取るという意味のフランス語の言葉を語源としています。

クーポン大国と知られるアメリカでクーポンを初めてマーケティングに活用されたのは1887年のコカ・コーラの1杯無料券。時代と共に、アメリカでは買い物の際にクーポンを使うのが当たり前になっていきました。

債券の利息のこともクーポンと言います。その名は債券の残存期間中に支払われる利息が各期ごと切り離して支払いを受け取る構造であったことに由来します。

電子化された現在でも債券の利息のことをクーポンと呼び、クーポンレートやゼロクーポン債といった金融用語にも使われています。

 

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