トラの知恵

年収600万円で老後は足りる?資産を増やすためにできること

公開日: 最終更新日:

※この記事は2021年12月24日時点の内容となります。最新のNISAに関してはこちらの記事をご参照ください。

年収600万円を超えている人は、全体で見ると2割程度と言われています。年収600万円の場合、手元に入る金額はいくらになるのでしょうか。年収600万円でも貯蓄ができない要因とともに、資産の増やし方についても紹介します。

年収600万円の手取りと税金

税金は一般的に、収入が上がるほどほど増えていきます。年収600万円の場合、税金はどれほどかかるのでしょうか、平均的な手取り金額についても併せて解説します。

手取りは450万~500万円

手取りとは、総所得から税金や社会保険料などを引いた金額です。この差し引きによって、給与から1~2割程度は少なくなることになります。そのため年収600万円と言っても、600万円全てを自由に使えるわけではありません。

年収600万円の場合、手取りは450万〜500万円程度となります。家族構成や住んでいる地域、会社で加入している保険などによって金額に差が生まれます。月額にすると30万円前後です。夏と冬にボーナスがある場合は、1回50万円前後と推測されます。

年収600万円だと税金はいくらかかる?

給与所得から引かれる税金は、主に所得税と住民税です。所得税は所得の金額によって税率が変わります。

給与の総額から給与基礎控除と基礎控除、社会保険料控除が差し引かれた金額が、課税所得です。そこから計算すると、年収600万円の場合、所得税は20万円ほどであることが分かります。

住民税については、給与総額から給与基礎控除と所得控除、均等割額を差し引いた結果、30万円程度になります。合わせると税金だけで年収600万円の場合は50万円以上が給与から差し引かれる計算です。

参考:No.2260 所得税の税率|国税庁

参考:個人住民税 | 税金の種類 | 東京都主税局

年収600万円は高いのか低いのか

年収600万円は、平均給与所得から見た場合にどのぐらいの位置付けなのでしょうか。また年収600万円となると毎月どの程度貯金できるものなのでしょうか。併せて解説します。

平均年収よりも高めの水準

国税庁が発表した『令和2年分民間給与実態統計調査』によれば、令和2年における平均給与は約433万円とされます。

男女別に見ると、男性の平均給与は532万円、女性が293万円です。この基準から見れば、年収600万円は平均と比較して1.5倍近く高いことになります。

また国税庁の調査によれば、年収600万円を超えているのは全体のわずか20%足らずで、中でも600~700万円台の人は全体の6.5%と低い数値です。

参考:令和2年分民間給与実態統計調査|国税庁

毎月の貯蓄額はどれくらい?

毎月どのくらい貯金できるかは、家族構成や生活水準によって変わります。仮に実家暮らしで独身の場合、家賃や水道光熱費は一人暮らしほどはかからないでしょう。養育費もかからないので、浪費しなければ安定して10万円以上の貯金は可能でしょう。

賃貸の場合は毎月の家賃、持ち家なら毎月支払う住宅ローンの金額が引かれ、月々の貯蓄額は実家で暮らしている人よりも少なくなります。

こうした家庭の事情や住まいの状況もあるので一概にいくらとは言えませんが、普通に生活する分には6~10万円程度、ボーナスがある月はより多い額を貯金に回すことが見込めます。

年収600万円でも貯金ができない要因は?

年収が600万円あったところで、まったく貯金に回せないばかりか生活が苦しく借金をしている人もいます。貯蓄がなければ、老後の資金繰りに困ることになる可能性が高いため、今のうちに対策を立てておきましょう。

まずは年収600万円あっても貯金できない要因について解説します。当てはまる人は、お金の使い方を改めることをおすすめします。

固定費の割合が高く貯蓄に回せない

家庭の支出は『固定費』と『変動費』に分類できます。固定費とは、家賃や水道光熱費、税金、保険料など金額が決まっている支出です。固定費は決まった額のため、生活レベルの見直しや節約によって下げるのは不可能と言えます。

固定費の中でも大きな割合を占めている家賃は、適正かどうか検討しましょう。一般的に、家賃は給与額の1/3程度までが良いとされています。

年収600万円の場合、月々の手取りは30万円前後なので、10万円程度が目安となります。家賃を安くできるなら、その分の金額を貯蓄に回すことが可能です。

また、支払っている固定費が本当に必要かを考えてみましょう。車の維持費や駐車場代、スマホやインターネットはもっと安いプランにできないか、本当に必要な保険かどうかなどを検討して固定費を安くできれば、貯蓄がしやすくなります。

収支をきちんと把握していない

自分の財布の中身や、今月いくら使ったか、きちんと記録していますか?

貯金ができない人に多い特徴として、自分の収支をきちんと把握していないという点が挙げられます。夫婦であれば、お互いが毎月いくら使っているのか把握していないという事態もあり得るケースです。

貯金をするためには、目標金額を決めて、その金額に近付けるために何を削れるのか、また無駄遣いをいかに減らすかが重要になってきます。

ところが収支を把握していない場合は、何が無駄な出費なのかも分かりません。インターネットで簡単に買い物ができる昨今では衝動買いを防ぐのも難しく、貯蓄に回すべきお金で衝動買いをしてしまいます。

夫婦で支出を把握していないと、「自分は貯蓄しなくてもパートナーが貯蓄してくれる」という間違った安心感も生んでしまいます。そうならないために、毎月の収支を把握し、いくら貯金するのか目標設定を行いましょう。

節税対策をしていない

節税した金額はそのまま収入になります。場合によっては年間数万円ぐらいは節税できるかもしれません。

節税と言っても難しい手続きなどは不要で、簡単にできるものもあります。ふるさと納税や扶養控除、医療費控除が該当します。副業をしているなら、確定申告することで税金を下げられるかもしれません。

節税をしっかり行うとお金に対する考え方も変わってきて、節約意識が高まるかもしれません。

投資を行い、資産を増やそう

節税や固定費の削減など支出を抑えることも重要ですが、自身の収入を増やすことも、貯蓄には有効です。そのために簡単に行える投資の中でも、比較的リスクの少ないものを紹介します。

投資の始め方

投資とは長期的に資産を増やすために運用することです。株、債券、投資信託、不動産などが該当します。株や外貨の短期の値動きから利益を得る方法は『投機』と呼ばれるものです。

昨今では投資は比較的簡単に行えます。インターネットの普及によって、ネットから証券口座の開設を申し込んだり、店舗に出向かなくても取引ができるようになったりしたためです。個人向け国債や社債の購入なども、初心者の投資にはおすすめです。

投資信託やミニ株など、数百円単位の少額からできる投資もあります。投資のメリットは、銀行預金と比べて利回りが高い点です。ただし、投資した金額より少なくなる(元本割れ)のリスクについてもしっかり把握しておきましょう。

NISA制度を利用する

NISAとは『少額投資非課税制度』のことで、投資で利益が出た場合に、それが非課税になるというものです。本来であれば投資による利益には約20%の税金がかかりますが、NISAを利用すると特定金額の非課税投資枠が与えられます。

NISAの中には、一般NISAと積立専用のつみたてNISAがあります。NISAを使って投資を行うとそのまま節税対策になるので、投資を行う場合はNISAの利用も検討しましょう。

※なお、2024年1月から新NISA制度が始まり、「つみたてNISA」の名称は「つみたて投資枠」へ、非課税の年間投資上限額が年120万円となり、非課税保有期間も無期限となりました。

リスクの少ない「おつり投資」

買い物をして生まれたおつりを自動的に積み立てられる『おつり投資』も、初心者の投資先としておすすめです。毎月5円という少額から無理のない範囲で投資が可能なのでリスクも少なく、自動で積み立ててくれるので手間もかかりません。連携先のポイントやマイルなどでも投資ができます。

従来の投資であれば、失敗すれば大きな金額を失うこともあり得ますが、投資している金額が少額のため、精神的なストレスも発生しにくいでしょう。家計簿アプリと連携できるため、日々の出費を確認しながら、計画的に投資することも可能です。リスクが怖い場合は、おつり投資から始めてみるのはいかがでしょうか。

おつりで投資 トラノコ | 長期分散投資アプリ

まとめ

年収600万円は比較的高い給与水準と言えるため、安定した生活が送れそうです。将来に向けて貯蓄を積み立てることも難しくはないでしょう。

しかし収支をきちんとコントロールしていなかったり、無駄遣いが多かったりする場合は貯金ができていない場合もあり得ます。将来に向けて家庭の収支を把握し、節税や投資などの手段で資産形成を行い、老後に備えましょう。

関連記事