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投資信託の分配金とは?金額や受取時期、ありとなしの特徴を解説

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投資信託には分配金あり・なしの2種類があります。その違いを理解することで、自分の投資スタイルに合わせた商品を選べるようになるでしょう。投資信託の分配金の基礎知識や、もらえる時期、ありとなしの違いについて解説します。

投資信託の分配金の基礎知識

投資信託の分配金とは、どのようなものなのでしょうか。まずは基本を理解しておきましょう。

分配金とはどんなお金?

投資信託(ファンド)の分配金とは、収益分配金とも呼ばれ、投資信託の運用で得られた利益を決算ごとに保有口数に応じて投資家へ分配するお金のことです。

分配金は、事前に金額や利率が確定していないという点において預金や債券とは性格が大きく異なります。

分配金はいつ支払われる?

投資信託の分配金の支払日は、決算日を基準に各ファンドで個別に定められています。決算日当日や決算日から5営業日以降など、支払い時期はファンドによりさまざまです。

分配金を受け取れる頻度も、ファンドごとに異なります。年1回・年2回・隔月・毎月などさまざまなパターンがあるため、自分に合ったタイミングで分配金を受け取れるファンドを選択することが可能です。

分配金を受け取るには、支払日に当該ファンドの受益者となっていなければなりません。受益者とは分配金を受け取れる権利を持っている人のことです。一般的には、決算日の前営業日までに購入を申し込むと受益者となります。

分配金は必ず支払われるのか?

受益者として決算日を迎えたからといって、分配金を必ず受け取れるとは限りません。ファンドの方針や運用成績によっては、支払われないケースもあります。

収益の支払い方針や頻度については『投資信託説明書』で確認可能です。投資信託説明書は『目論見書』とも呼ばれ、投資信託の購入前にファンドの販売会社から渡される文書を指します。

投資信託説明書には、ファンドの目的・特色・実績・手数料なども記載されています。統一された書式で書かれているため、ファンドを比較する際に役立つでしょう。

分配金には税金がかかるの?

毎日設定解約が可能な追加型株式投資信託の分配金は、課税対象となる『普通分配金』と非課税扱いの『特別分配金』に分けて取り扱われています。このどちらになるかは、ファンド購入時の基準価額等により計算される投資家一人ひとりの『個別元本』に基づいて計算されます。

分配金を差し引いた後の基準価額が、個別元本を上回っている場合、支払われる分配金は『普通分配金』となります。投資家の利益になるため、『配当所得』として税金が課されます。

分配金を差し引いた後の基準価額が個別元本を下回る場合、支払われる分配金は『特別分配金』(元本払戻金)となります。個別元本の払い戻しとして扱われることから、利益ではないとみなされて課税されません。

分配金ありのファンドの特徴

投資信託には、分配金があるタイプとないタイプがあります。分配金があるファンドのメリット・デメリットを確認しましょう。

定期的な収入になる

「毎月分配型」のファンドのように、積極的に分配を行う方針のファンドを選択すれば、定められた日に定期的な収入を得ることが可能です。運用が続いている間は少しずつ運用成果を受け取れるため、投資に取り組んでいる実感を得られるでしょう。

支払いのタイミングを考慮してファンドを決めれば、投資目的に合った収入が手に入ります。例えば毎月受け取れるタイプのファンドなら、年金だけでは手元資金が不足する老後の生活費を補うことも可能です。

ただし、ファンドによっては、定期的な分配を行う過程で投資元本部分が減ってしまうこともある点に注意しましょう。

複利効果を得にくい

分配金をもらえるファンドでは、原則として収益が再投資されません。元本の上乗せをしにくいため、『複利効果』を得にくい点がデメリットです。

複利効果とは、運用益を再投資して元本を増やし、より大きな運用益を得ることを意味します。
運用期間が長期になるほど、複利効果も高まります。分配金ありのファンドでは、何年経っても最初の元本を基準にするため、長期運用の効果を出しにくいこともポイントです。

中には、資産運用サービス「トラノコ」で提供しているトラノコ・ファンドのように、分配は行える状態でありながらも、受益者の投資資産を複利効果でより効果的に運用するために分配を実施していないファンドもあります。分配実績は、運用会社のホームページなどで確認できます。

資産運用サービス「トラノコ」

分配金なしのファンドの特徴

分配金なしのファンドでは、分配金ありのファンドのメリット・デメリットがそのまま逆になります。それぞれの具体的な内容をチェックしておきましょう。

複利効果を期待できる

分配金を支払わない方針のファンドでは、運用益が元本に上乗せされていきます。元本を増やしながら継続運用できるため、複利効果を得られることが強みです。

例えば、元本10万円で運用を開始した場合、年利10%なら翌年の元本は10%増えて11万円になります。分配金ありの場合、何年経っても元本は10万円のままです。

分配金なしのファンドなら、運用年数を重ねるほど複利効果を高められます。分配金ありのファンドに比べ、最終的な利益に大きな差が生まれるでしょう。

解約するまでは利益を得られない

分配金なしのファンドでは、解約しなければ利益を得られません。どれだけ利益が積み上がっていても、途中で利益を確定できない点がデメリットです。

分配金をもらいながら投資を楽しみたい人には向きません。利益を受け取るという分かりやすい仕組みがないため、現状を運用報告書で確認する必要があることもポイントです。

一方、数十年後に大きな利益を得たいと考える人には適しています。元本を上乗せしながら、コツコツと利益を上げていくタイプのファンドです。

まとめ

投資信託の分配金は、決算時に収益から投資家へ還元されるお金です。必ずもらえるとは限らず、ファンドの運用成績によっては受け取れない場合もあります。

分配金がないタイプのファンドがあることもポイントです。複利効果や利益確定などのメリット・デメリットも理解し、自分に合った商品を選びましょう。

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