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ローンの返済が遅れると遅延損害金がかかる?仕組みや延滞のデメリットについて解説

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例えば車や住宅を購入する際に、自動車ローンや住宅ローン、また一時的にお金が必要となりカードローンなどを利用される方もいるでしょう。ローンは毎月決まった金額を返済する必要があるため、「支払いが遅れたらどうしよう」「延滞するとどのようなペナルティがあるの?」といった不安をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

本記事では、ローンの延滞金(正しくは遅延損害金)の仕組みや、ローンを延滞することのデメリットを解説します。

遅延損害金とは

遅延損害金とは、ローンやクレジットカードなど契約において、支払い期日に遅れた場合に課されるペナルティです。返済が1日でも遅れると、通常の返済額に上乗せして遅延損害金を支払わなければなりません。

遅延損害金の上限は利息制限法において、以下のように定められています。

元本金額 遅延損害金の上限(年率)
10万円未満 20%
10万円~100万円未満 18%
100万円以上 15%

出典:日本貸金業協会「上限金利について

遅延損害金の金額は、借入残高(元本金額)に遅延損害金の利率をかけて計算します。
例えば、自動車ローンにように分割で支払っている場合の計算式は以下のとおりです。

遅延損害金 = 返済が遅れている金額(元本分) × 遅延損害金の年率 ÷ 365※ × 延滞している日数

※うるう年の場合は366で計算

自動車ローンの毎月の返済額(元本分)が5万円で30日間延滞した場合の遅延損害金は以下のとおりです。遅延損害金の年率は14%とします。

遅遅延損害金
= 5万円 × 14% ÷ 365 × 30日
= 約575円

 

 

ローンを延滞するとどんなデメリットがある?

ローンを延滞すると、以下のようなデメリットが生じます。延滞した後で思わぬ不利益を被らないよう、どのようなデメリットがあるのか把握しておきましょう。

デメリット1:遅延損害金の支払によって家計が苦しくなる

前述のとおり、ローンの支払いが1日でも遅れると、毎月の返済額とは別に遅延損害金が発生します。返済額や延滞している日数が多いほど遅延損害金の負担は重くなるため、注意が必要です。

また、滞納を続けると一括返済を求められるケースもあります。特にローン残高が多い場合は一括返済することで家計へのダメージも大きくなるため、延滞を放置することはおすすめできません。

デメリット2:信用情報に傷がつく

ローンの返済を延滞したままにすると、信用情報に傷がつく場合があります。信用情報とは、ローンやクレジットカード、割賦販売などの契約において、契約内容や支払い状況などを記録した情報です。

ローンの支払いが遅れてそのままにしていると、その事実が「事故情報」として信用情報に反映され、これが「ブラックリストに載る」と言われます。

一度ブラックリストに載ると、その情報は。信用情報は、各信用情報機関やそこに加入している金融機関・企業に共有されるため、ブラックリストに載ると他のローンが組みにくくなったり、スマホの分割購入ができなくなったりするリスクがあります。

例えば自動車ローンを延滞してブラックリストに載ってしまった場合、その後5年程度は住宅ローンを組みにくくなる、といったデメリットも起こりうるので、今後のライフプランに影響する可能性もあります。

デメリット3:ローンを組んだ商品が引き上げられる場合も

自動車ローンのように特定のモノを購入するためにローンを組む場合、延滞によってローンを組んで購入した商品が引き上げられる可能性もあります。うっかり返済日を忘れて数日支払いが遅れてしまったような場合なら、すぐに引き上げられる可能性は低いでしょう。しかしローンの借入先から督促が届いても延滞を放置しつづけると、その商品が引き上げられる場合があります。

例えば自動車を毎日の通勤や移動手段として利用している方であれば、ローンの延滞によってその自動車が引き上げられると、日常生活に大きな影響が出てしまうので注意が必要です。

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ローンの遅延損害金を発生させないための対策

ローンを延滞すると、遅延損害金を始めとするさまざまなデメリットが生じるため、期日までに確実に支払えるよう対策が必要です。毎月のローンの返済が不安な方は、以下のような対策を取ることをおすすめします。

無理のない返済計画を立てる

これからローンを契約する方は、契約前に無理のない返済計画を立てましょう。家計の状況をふまえて、毎月確実に返済できる金額で契約することが大切です。もし家計管理が十分でない場合は、家計簿アプリなどを活用して毎月の収支を把握するところから始めましょう。

ローンの返済計画は、金融機関のウェブサイトなどで公開されているシミュレーション機能を活用すると便利です。借入金額、返済期間、金利などの情報を入力することで、毎月の返済額を事前に知ることができます。

またローンを契約する際は、合わせてライフプラン表も作成することが望ましいでしょう。ローンの返済は毎月支払う固定費にあたるため、毎月いくら・どのくらいの期間返済するかは、今後の家計や実現可能なライフプランに影響を与えます。

関連記事:ライフプランのシミュレーション方法を解説。将来必要なお金を「見える化」しよう(トラの知恵記事)

引き落とし口座の残高チェックを怠らない

「うっかりローンの返済日を忘れて口座への入金が1日遅れてしまった」。このような場合でも、遅延損害金は発生します。そのため、引き落とし口座の残高チェックは非常に大事です。支払期日までに確実に口座へ入金できるよう、仕組みづくりをしましょう。

例えば、家計簿アプリやカレンダーアプリのリマインダー機能を活用して、期日管理する方法があります。給与振込口座と引き落とし口座が別の場合は、金融機関の自動振込サービスを利用して、毎月決まった日に決まった金額を振り込むよう設定するのも一案です。

数日程度の延滞であれば、信用情報には登録されないかもしれませんが、何度も繰り返すと借入先の印象が悪くなる可能性もあります。例えば、過去に自動車ローンの軽微な延滞を繰り返したことによって、後に契約する住宅ローンの審査が不利になるケースも考えられますので、不要な延滞は避けるようにしましょう。

支払いが難しい場合は借入先に早めの連絡を!

もし期日までにローンの返済が難しい場合は、借入先に早めに連絡することが大切です。場合によっては、返済額の減額や返済タイミングを相談ができる可能性もあります。連絡なしに無断で延滞すると、遅延損害金が発生するだけではなく、契約者ご本人の印象が悪くなり、今後のローン契約などにも影響する場合があるので、必ず事前の連絡を入れましょう。

銀行ローンを利用している方で、ローンの支払いに不安がある場合は、全国銀行協会が運営している「カウンセリングサービス」を利用するのも一案です。経済的な事情などで自動車ローンなどの個人向けローンの返済が困難となっている方に対して、無料の相談を実施しています。

参考:全国銀行協会「カウンセリングサービス

まとめ

自動車ローンなどを延滞すると、毎月の返済額に上乗せして延滞金(遅延損害金)というペナルティが発生します。ローンを延滞すると家計への負担はもちろんのこと、他のローンが組みにくくなったり、ローンを組んだ商品が引き上げられたりするデメリットもあります。

ローンを組む際は返済計画をしっかり立てて、無理のない金額で契約することが大前提です。また返済額に問題がなくても、うっかり返済日に遅れてしまうことで余計な遅延損害金が発生する場合もあるので、引き落とし口座の残高チェックや期日管理を怠らないことも大切です。

ローンの利用は家計やライフプランに大きく影響するため、不要な遅延損害金や信用情報の悪化が起こらないよう対策しましょう。

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