外国為替レートの変動要因と生活・投資に与える影響は?仕組みを知って投資における為替リスクを抑えよう
公開日:ニュースや新聞でよく見聞きする外国為替や為替レートは、私たちの暮らしにおいて非常に身近で、経済や日々の生活に影響を与えるものです。この記事では、外国為替・為替レートとは何か、私たちの生活にどのような影響があるのかをお伝えしたうえで、これらと投資における関係について解説します。外国為替の仕組みを知って、安定的な投資に役立てましょう。
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外国為替・為替レートとは何か
外国為替とは、異なる通貨を交換することをいいます。商品を輸入・輸出する際や、海外の株式・債券に投資する場合など、現代社会において外国為替は欠かせない取引となっています。
そして為替レート(為替相場)とは、異なる通貨を交換する際の交換比率のことをいいます。例えば、円とドルを交換する際のレートは「1ドル=○○円」というように表されます。外国為替は外国為替市場という場で、土日や元旦などの特定の祝日を除いて24時間取引されており、その相場の需要と供給によって為替レートは常に動いています。
為替レートと関連が深い言葉に「円高・円安」があります。これは円の他通貨に対する相対的価値を表すものです。円の価値が他通貨の価値に対して高くなっている状態のことを「円高」、円の価値が他通貨の価値に対して低くなっている状態のことを「円安」といいます。
例えば、日本の方がアメリカに旅行する際の為替レートで考えてみましょう。「1ドル=100円」のとき、1万円で両替できるのは100ドルです。しかし為替レートが変動し「1ドル=80円」になると、1万円で125ドルを両替できるようになります。「1ドル=100円」と比べると、「1ドル=80円」のときのほうが同じ1万円で多くのドルを両替できます。このように相対的に円の価値が高くなっている状態が「円高」です。
反対に「1ドル=125円」になると、1万円で両替できるのは80ドルになります。「1ドル=100円」のときと比べて、1万円で両替できるドルの単位が減ってしまいました。このように相対的に円の価値が低くなっている状態が「円安」です。
為替レートの変動要因
為替レートの変動にはさまざまな要因が関係しています。為替レートに影響を与えると言われている主な変動要因には以下のものがあります。
中長期的な変動要因 | 短期的な変動要因 |
・金利差 ・貿易収支 ・物価変動 |
・政治 ・紛争 ・経済指標の発表 |
為替レートの中長期的な変動要因として代表的なものに「金利差」があります。一般的に金利が高くなった国の通貨が買われ、相対的に金利が低くなった国の通貨が売られる傾向にあります。金利の高い通貨の方が多くの利益を得られると投資家が期待して需要が増えるため、相対的に通貨の価値が高まるからです。
また貿易収支が黒字の国の通貨は需要が高まり、通貨の価値が上昇する傾向にあります。貿易収支が黒字になると、その代金として得た相手国の通貨を自国の通貨に交換する需要が高くなるためです。
物価変動も為替レートが変動する要因の一つです。一般的にインフレ(物価が上昇し続ける状態)になっている国の通貨は価値が下がる傾向にあります。インフレでモノの価格が上がると、相対的に通貨の価値が下がるからです。
それ以外にも、各国の政府要人の発言や、経済に影響を与えることが予想される戦争・紛争、経済指標の発表などは、短期的に為替レートが変動する要因になる場合があります。
外国為替レートが経済や一般生活に与える影響
外国為替レートは経済や私たちの生活にも影響を与えます。外国為替レートが変動することでまず初めに影響を受けるのは、輸出品や輸入品を扱う企業です。
外貨建てで輸出品を売っている企業は、円安になるとその分円換算した金額が増えるため、業績アップにつながります。反対に円高になるとその分受け取れる円換算額が減ってしまうため、利益が減ってしまいます。
海外から商品を輸入している企業のケースでは、円高になると、少ない金額で輸入品を仕入れられるため、輸入コストを抑えることができ、業績アップにつながります。反対に円安になれば輸入に必要な円換算額が増えるためコストが増え、業績悪化につながります。このように為替レートの変動による輸出・輸入企業の業績は、株価や従業員の給与・賞与などを通じて経済に影響を与える要因となります。
また為替レートは国内の物価にも影響を与えます。一般的に、円安になると物価が上がり、円高になると物価が下がると言われています。前述のとおり輸入品を仕入れるコストは為替レートに左右されるため、その影響で販売価格も変動することが予想されるためです。
同じように、海外旅行や海外出張に行く際も、為替レートによって外貨の両替に必要な円の金額が変わってきます。円高であれば少ない金額で外貨に両替できますが、円安のときは相対的に多くの円が必要になります。
ただしここで紹介した為替レートの影響はあくまでも一般論で、実際はさまざまな要因が絡み合っているため、必ずしもそうならない場合もあります。
外国為替レートは投資にも影響する
外国為替レートは、私たちの日常生活だけでなく、投資にも影響します。外国株式や外国債券といった「外貨建て資産」に投資する際に、その商品を円で購入すると、為替レートの変動により円換算した資産価値が変わるためです。
例えば「1ドル=100円」のときに1万ドルの外国債券を購入したとします。このときの購入価格は100万円です。その後、円安が進み「1ドル=120円」になると、この外国債券を円に両替するときに円換算で120万円となるため、20万円の利益(為替差益)が発生します。反対に購入時より円高が進み「1ドル=80円」になると円換算で80万円になるため、20万円の損失(為替差損)となります。
このように、為替レートの影響で、円換算した資産価値が変動する可能性を「為替リスク」といいます。
為替リスクを抑えながら投資するには?
外国の通貨に投資することは、必ずしも悪いことではありません。円に投資するより高い金利を得ることも期待できますし、為替レートが変動することで利益を得られるチャンスもあるからです。そのため、外国株式や外国債券といった外貨建て資産に投資する際は、為替リスクと上手に付き合うことが大切です。ここでは為替リスクを抑えながら投資する方法について紹介します。
長期積立投資をする
外貨建て資産に投資する場合、積立投資することでも為替リスクを抑えられます。積立投資とは、一定の金額で定期的に金融商品を購入し続ける投資手法です。1回で外貨建て資産に投資するより為替レートの影響をダイレクトに受けにくくなるため、大きな利益は得にくくなる半面、大きく損をする可能性を減らせます。
積立投資は長く続けるほど、投資のリスクを抑える効果が高くなるため、「外貨建て資産への投資に興味はあるけど、為替リスクを抑えながら長く運用したい」という方におすすめの方法です。積立投資できる外貨建て商品には、外貨預金や外貨建MMF、外国株式、外貨建て投資信託などがあります。
異なる通貨に分散投資する
為替リスクを抑えるためには、一つの通貨だけに集中して投資するのではなく、複数の通貨に分散して投資することが重要です。例えば手持ちの資産すべてをドル建ての商品に投資した場合、ドルの価値が下がってしまうとすべての資産がその影響を受けてしまいます。しかし「ドルに50%、日本円に50%」というように通貨を分散して投資していれば、為替レートの変動による影響は限定的で済みます。
為替ヘッジありの商品に投資する
為替リスクを抑えるには、「為替ヘッジ」という手法を用いた商品(主に投資信託)に投資する方法もあります。為替ヘッジとは、あらかじめ将来の為替レートを予約(為替予約)しておくことで、為替変動の影響を抑える仕組みのことです。
例えば「1ドル=100円」で為替予約しておけば、将来の為替レートが動いてもそのレートで交換できます。外貨建て資産は購入時より円高になると損失が出てしまうため、当面円高の局面が続くと予想する方や、為替リスクを抑えながら外貨建て資産に投資したい人に適した方法といえるでしょう。
一方で為替ヘッジありの商品に投資すると、円安の局面で利益が得にくくなる、為替ヘッジのない商品に比べてコストが高くなりやすいといった特徴があることも覚えておきましょう。また、為替ヘッジはあくまで為替リスクを「抑える」ための仕組みであり、完全に為替リスクがなくなるわけではありません。
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まとめ
外国為替は海外との貿易や外貨建て資産に投資する際に欠かせない取引であり、外国為替レートはその取引を行う際の異なる通貨間の交換比率です。為替レートは金利差や貿易収支などさまざまな要因が複雑に絡み合って変動しますが、その変動は経済や私たちの生活、さらには投資にも影響を及ぼします。
これから投資を始める方は、外国為替の仕組みや為替レートについて理解したうえで、為替リスクと上手に付き合いながら運用しましょう。