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年収500万円の手取りはいくら?老後に不足する金額や税金も解説

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年収はその全額を自由に使えるわけではありません。自分の手元に入ってくるのは税金や保険料が引かれたあとの『手取り』の金額です。年収500万円の場合、手取りはいくらになるのでしょうか。節税対策や手取りを増やす方法などとともに解説します。

年収500万円の手取りはいくら?

会社員の場合、「年収」とは「給与の総支給額」を指します。年収が500万円なので500万円を何に使おうかと考える人もいるかもしれませんが、年収金額を全てそのまま使うことはできません。

まず、年収が500万円の場合の手取りの計算方法や引かれる税金について解説します。そこから手取り金額を割り出していきましょう。

手取り金額の計算方法

勤務先から支払われる給与は、所得税や社会保険料、住民税や積立金などが引かれた上で自分の手元に入ります。これが『手取り』で、家計はこれを基本に考えなければなりません。

手取りは『(給与の総支給額)-(給与から引かれる金額)』で表されます。どのような項目が引かれるのかは、勤めている会社や雇用形態によって異なります。

年収500万円の場合は、およそ400万円前後が平均の手取り金額と考えてよいでしょう。

引かれている項目

給与の総支給額から引かれる項目は以下の通りです。

  • 所得税
  • 復興特別所得税
  • 住民税
  • 介護保険料(40歳以降)
  • 厚生年金保険料
  • 健康保険料
  • 雇用保険料

このうち一番大きな金額は『所得税』でしょう。所得税は、年収金額に対して課税されるわけではありません。給与収入から給与所得控除を引いた給与所得から基礎控除や社会保険料控除を差し引いた金額が、課税される所得です。

年収500万円の会社員の場合、給与所得控除144万円、基礎控除48万円、14.5%と仮定した社会保険料(健康保険の料率は居住地域や組合によって異なります。)を差し引いた課税所得金額はおよそ236万円となります。所得税は課税所得によって税率が異なり、課税所得が200万円台の場合は10%と97,500円の控除とで算出されます。よって、所得税として課税される金額は約14万円となります。

実際にどのような項目の金額がどれほど引かれているかは、給与明細の『差引支給額』『控除』などの欄に記載されているのでそちらを確認しましょう。

参考:No.2260 所得税の税率|国税庁

年収500万円で老後は大丈夫?

日本では消費税率のさらなる引き上げや年金問題など、将来に向けて不安視する声が多く聞かれます。老後にいったいいくらの金額が必要になるのか、年金はいくらもらえるのかをシミュレーションして、毎月の貯蓄金額を算出してみましょう。

老後に必要な資金はいくら?

総務省の『家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)』によれば、夫婦のみの高齢無職世帯の場合、消費支出の平均額はおよそ22.4万円となっています。一方で年金などによって得られる可処分所得は約20.6万円です。

2019年に、金融庁の金融審議会による「老後30 年間で約2,000 万円が不足する」という試算が話題になりましたが、月々の赤字を老後何十年にもわたり資産から取り崩していくにはそれなりの蓄財が必要です。そのほかに医療費やローンなどがあれば、さらに支出は増えていきます。老後に安心して暮らすためには、それだけのお金が必要になると考えましょう。

参考:家計調査年報(家計収支編)2018年(平成30年) P17|総務省

もらえる年金をシミュレーションしてみよう

老後の収入に年金をあてにしている人も多いのではないでしょうか。年金の金額は働き方や生涯年収によって違ってきますので、実際に年金がいくらもらえるのか、見込み額をシミュレーションしてみましょう。

年金の試算ができるサイトは、日本年金機構のほかにいろいろな金融機関により設けられています。ご自身の状況に合わせてシミュレーションしてみてください。

年金の受給額は、下記の要素によって毎月の金額・総支給額が変わってきます。

  • 満額支払っているか
  • 繰り上げ・繰り下げ受給を選択するか

参考:年金見込額試算|日本年金機構

参考:公的年金シミュレーター 厚生労働省(2023年4月現在試験運転中)

手取りを増やすための節税対策

手取り金額を増やすための考え方には2種類あります。それは「収入を増やす」、「支出を減らす」のいずれかです。普段からの節約も大切ですが、ここでは節税について考えてみましょう。今からでも始められる節税対策の例を紹介します。

扶養控除

扶養控除とは子供や親を養っている場合に受けられる控除のことです。金額は扶養者の年齢によって38万~63万円でいくつかの区分があります。
例えば16歳以上18歳以下の「一般扶養親族」であれば、控除額は38万円です。70歳以上の扶養親族と同居している場合は58万円が控除されます。
扶養親族に該当するには、年間の合計所得金額が48万円以下(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)であることなど、いくつかの条件があります。扶養控除の処理は民間企業に勤めていれば年末調整で勤め先が行ってくれますが、フリーランスの場合は確定申告を自分で行わなければなりません。
夫婦が共働きの場合、収入の高い方が扶養控除を受けると世帯の所得が安くなる場合が多くあります。扶養控除をうまく使うことで納めるべき税金を減らしましょう。

参考:No.1180 扶養控除|国税庁

iDeCoで積立を始める

iDeCoは国民年金とは異なるもうひとつの年金制度です。20歳以上65歳未満であれば加入できます。

国民年金とは違い、掛け金の額は上限の範囲内で自分で決められます。原則65歳まで積み立てが可能で、60歳以降に年金または一時金という形で受け取ります。運用商品(定期預金、保険商品、投資信託)を自分で選んで掛け金を運用し、運用結果によって受取額が変わってきます。

掛け金の全額が所得控除される点や、受取時も税制優遇される点から、老後の準備資金としての役目だけでなく、節税対策としての効果も見込めるでしょう。

参考:iDeCo公式サイト|国民年金基金連合会

ふるさと納税をする

ふるさと納税とは、自分が応援したい自治体に寄付をする制度です。寄付金2,000円を超えた金額については、所得税の還付と住民税からの控除が受けられます。

納税を行うタイミングが任意である点や、その地方の特産物などを返礼品として受け取れるといったメリットもあります。

注意点としては、所得税の還付は翌年の住民税の控除という形になるため、現金が返ってくるわけではないという点です。また確定申告かワンストップ特例制度という手続きを行わなければ控除されない点にも注意しましょう。

収入を増やして手取りを増やそう

ここでは「収入を増やす」方法について解説します。始めやすい方法から選択してみるといいでしょう。

給与の高い会社へ転職

会社の中で自分の評価が振るわない、会社の業績が悪くなかなか給与が上がらないといった問題がある場合は、転職により収入を増やすという方法もあります。平均給与の高い他業種に転職するのも選択肢の一つです。

もちろん転職して必ず給料が上がるというわけではありません。給与を上げるためには、転職先の業界や会社の業績、将来性についてきちんと調べたり、転職後に必要になる資格やスキル取得のために努力したりすることが求められます。

転職エージェントなどを使って良い会社を探してもらうのも、転職を成功させるポイントといえるでしょう。

資産運用を始める

お手軽に始められる方法としては、資産運用が考えられます。銀行の普通預金の金利は年0.001%程度が平均となっており、10万円を預けてようやく年1円(税引き前)の利子がつくといった程度です。

この金額を債券や株式への投資に回すことで、年利数%、運用方法によってはそれより大きな収入を得られる可能性もでてきます。NISA(少額投資非課税制度)や積み立て投資など、コツコツ投資ができる金融商品で運用してみるのも有効です。

トラノコとは?

投資の仕方がわからない、時間がなくてなかなか始められない、という人は『トラノコ』から始めてみてはいかがでしょうか。『トラノコ』では自分にとって無理のない金額を設定して、毎月積み立て投資を行うことができます。世界の資産に広く分散投資しているので、市場の動きに一喜一憂することなく投資が続けられます。

家計の負担にならない金額から始められ、様々なお買い物のポイントなどでも投資ができます。運用成績も毎日確認できるので、投資の第一歩として始めてみるのもいいでしょう。

資産運用サービス「トラノコ」

まとめ

年収500万円の会社員の場合、手取り金額は400万円前後が一般的です。日本の平均所得よりも高い金額であるといえます。ただし計画的に貯蓄や資産形成に臨まなければ、老後の資金が不足してしまうかもしれません。

節税対策や積立など、今日からでも見直せることは実は多いものです。老後を安心して過ごすため、また怪我や病気などの大きなトラブルに備えるために、資産形成を計画的に行っておきましょう。

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