卵をどのカゴに盛る?
公開日: 最終更新日:「卵を1つのカゴに盛るな」というタイトルで、分散投資の重要性をご説明しました。今回は、複数の卵をどのカゴにいくつずつ分けるべきかについて考えていきます。
投資判断をするにあたり、相場状況や投資先の成長に“期待”する度合いを期待値とすると、期待値を維持しつつ、暴落するリスクを極力減らしたいと考えます。
1つの銘柄にすべてのお金を投じると、期待もリスクもその銘柄と心中することになりますが、2つ以上の銘柄に分けて投資することで、仮に同じ期待値であっても、リスクを軽減することができます。この投資の組み合わせのことを金融業界では「ポートフォリオ」といいます。
この「ポートフォリオ」とは、もともと紙を挟んで持ち運ぶ紙入れを指す言葉なのですが、株券などをその紙入れに挟んで持ち歩いたことから、所有する株式などの中身の組み合わせのことを指して「ポートフォリオ」と呼ばれるようになりました。ちなみに、同じポートフォリオという言葉を美術やクリエーターの世界では、紙入れに複数の作品を入れて持ち歩いたことから「作品集」を指す場合もあります。
投資を行う際、「どのカゴにどれだけの卵を盛り分けるべきか」。すなわち、どの資産にどれだけ投資すべきかの比率を決定する上での理論を現代ポートフォリオ理論といいます。
現代ポートフォリオ理論は、経済学者ハリー・マーコビッツ氏が1952年に発表した論文を発端に研究が進められ、1銘柄に集中投資するよりも複数銘柄への分散、さらには、株式だけでなく債券や不動産など、異なる動きをする投資資産の種類(アセットクラス)への分散投資の方が、もうかる際の期待値が同じであれば、損失のリスクが下がることを数学的に表しています。もっとも実業に影響ある理論の一つといわれるこの理論を提唱したマーコビッツ氏は、90年ノーベル経済学賞を受賞しています。
その後、金融市場はコンピューターの進化とともにさらなる発展を遂げているものの、この理論は現在も分散投資の基本となっています。近年、ロボアドバイザーなど最適なポートフォリオを算出してくれる仕組みが広がってきましたが、その多くでも、この理論またはその発展系が活用されています。
当社が提供するトラノコ・ファンドも、金融工学の専門家がこの理論を発展させた高度な数理モデルを用いて日々計量分析を行い、最適ポートフォリオを算出して運用しています。