トラの知恵

iDeCoの節税効果はどのくらいお得?3つの税制メリットとシミュレーションを紹介

公開日:

iDeCo(イデコ)は、安心して老後を過ごすための資産形成方法として注目されています。税制上の優遇措置を受けながら、お得に老後資金を準備できるのが特徴です。iDeCoを活用することで、どのくらい税負担が軽減されるのでしょうか。

今回は、iDeCoの3つの税制メリットと節税シミュレーションを紹介します。

iDeCo(個人型確定拠出年金)とは

iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、公的年金(国民年金・厚生年金)とは別に給付を受けられる私的年金制度です。加入は任意で、掛金の拠出や運用をすべて自分で行うのが特徴です。

自分で選んだ商品(投資信託、定期預金など)で運用を行い、掛金とその運用益の合計額を将来給付として受け取ります。運用がうまくいけば給付が増える一方で、タイミングによっては元本割れで損失が出る可能性もあります。

iDeCoに加入する場合は、証券会社などの取扱金融機関で加入手続きを行います。

iDeCoの3つの税制メリット

iDeCoは節税効果が高く、通常の証券口座で投資信託を運用するよりもお得に資産形成が可能です。具体的には、以下3つの税制メリットがあります。

①掛金が全額所得控除で税負担が軽減される(拠出時)

iDeCoの掛金は、全額が所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象となります。

所得控除とは、税金計算の際に各種所得(給与所得、事業所得など)の合計から差し引くことです。課税所得が減るため、所得税や住民税の負担が軽減されます。

仮に毎月の掛金が1万円で、所得税と住民税の税率がそれぞれ10%の場合、節税効果は年間2万4,000円です。

②運用益が非課税で再投資される(運用時)

投資信託の運用で利益が出た場合、通常はその利益に対して20.315%の税金がかかります。仮に運用益が100万円であれば、約20万円の税金が差し引かれるため、手元に残るのは約80万円です。

しかし、iDeCoなら運用益に税金がかからず、再投資されます。運用益がすべて手元に残るため、通常の証券口座よりも有利に運用できます。

③将来掛金を受け取るときも所得控除を受けられる(受取時)

iDeCoの運用資産は、原則60歳以降に老齢給付金として受け取ります。受け取り方法は、年金または一時金から選択可能です(金融機関によっては併用も可)。

年金は「公的年金等控除」、一時金は「退職所得控除」が適用されるため、所得控除による節税効果を得られます。

iDeCoの掛金の上限額は職業によって異なる

iDeCoは節税効果が高いため、「より多くの金額を積み立てたい」と思うかもしれません。また、試しに少額から始めてみたい人もいるでしょう。

iDeCoの掛金は、職業や勤務先の年金制度に応じて上限額が決まっています。月々の掛金額は自分で決められますが、上限額の範囲内で設定しなくてはなりません。

掛金の拠出限度額

iDeCoの掛金の拠出限度額は以下の通りです。

職業(加入資格) 拠出限度額
自営業者等 月額6万8,000円
(年額81万6,000円)
勤務先に企業年金がない会社員 月額2万3,000円
(年額27万6,000円)
企業型確定拠出年金(企業型DC)のみに加入している会社員 月額2万円
(年額24万円)
確定給付企業年金(DB)と企業型DCに加入している会社員 月額1万2,000円
(年額14万4,000円)
DBのみに加入している会社員 月額1万2,000円
(年額14万4,000円)
公務員 月額1万2,000円
(年額14万4,000円)
専業主婦(夫) 月額2万3,000円
(年額27万6,000円)

参考:iDeCo公式サイト|iDeCo(イデコ)の仕組み

まずは自分がどの加入区分に属するかを確認し、掛金の上限額を把握することが大切です。会社員は勤務先の年金制度によって加入資格が変わってくるため、わからない場合は勤務先の担当部署に確認するといいでしょう。

なお、企業型DCに加入している会社員でマッチング拠出を利用している場合は、iDeCoに加入できません。マッチング拠出とは、会社の掛金に上乗せして従業員が掛金を拠出できる仕組みです。iDeCoとマッチング拠出は併用できず、どちらかを選ぶ必要があります。

月々の掛金額は自分で決められる

iDeCoは月々5,000円から始められます。月々の掛金は1,000円単位で自由に設定できるため、限度額いっぱいまで積み立てる必要はありません。資金に余裕がない場合は、無理のない範囲で掛金を設定するといいでしょう。

月々の掛金額は、1年(12月分~翌年11月分)に1回限り変更可能です。

iDeCoはどのくらいお得?節税シミュレーションを紹介

iDeCoの節税効果を具体的にイメージできるように、節税シミュレーションを3つ紹介します。

※あくまでも試算結果であり、実際の金額を保証するものではない点にご留意ください。

年収300万円、公務員、25歳の場合

年収300万円の公務員が、毎月1万2,000円を25歳から60歳まで35年間拠出した場合(運用利回り3.0%)のシミュレーション結果は以下の通りです。

<拠出時の節税効果>

1年間 60歳まで(35年間)の累計
2万1,700円
(所得税7,300円、住民税1万4,400円)
75万7,500円

 

掛金を所得から控除できるため、所得税と住民税が年間2万1,700円、60歳までの35年間で75万7,500円優遇されます。

<運用時の節税効果>

元本 運用益 運用結果 節税効果
504万円 378万5,615円 882万5,615円 75万8,629円

 

iDeCoの運用益は非課税であるため、本来は課税される部分に税金がかからず、60歳までの35年間で75万8,629円が優遇されます。今回は運用利回り3.0%で試算していますが、利回りが高くなるほど運用益は増え、節税効果も大きくなります。

iDeCoによって得られる節税効果は、拠出時と運用時の合計で151万6,129円となりました。

年収500万円、会社員、30歳の場合

年収500万円の会社員(勤務先に企業年金なし)が、毎月2万3,000円を30歳から60歳まで30年間拠出した場合(運用利回り3.0%)のシミュレーション結果は以下の通りです。

<拠出時の節税効果>

1年間 60歳まで(30年間)の累計
5万5,700円
(所得税2万8,100円、住民税2万7,600円)
166万3,500円

 

所得控除の適用を受けることで、所得税と住民税が年間55,700円、60歳までの30年間で166万3,500円優遇されます。

<運用時の節税効果>

元本 運用益 運用結果 節税効果
828万円 503万399円 1,331万399円 100万8,966円

 

運用益が非課税であることにより、60歳までの30年間で100万8,966円が優遇されます。

iDeCoによって得られる節税効果は、拠出時と運用時の合計で267万2,466円となりました。

年収800万円、自営業、40歳の場合

年収800万円の自営業者が、毎月6万8,000円を40歳から60歳まで20年間拠出した場合(運用利回り3.0%)のシミュレーション結果は以下の通りです。

<拠出時の節税効果>

1年間 60歳まで(20年間)の累計
27万3,200円
(所得税19万1,600円、住民税8万1,600円)
544万4,000円

 

所得控除の適用を受けることで、所得税と住民税が年間27万3,200円、60歳までの20年間で544万4,000円優遇されます。

<運用時の節税効果>

元本 運用益 運用結果 節税効果
1,632万円 590万6,102円 2,222万6,102円 118万9,754円

 

運用益が非課税であることにより、60歳までの20年間で118万9,754円が優遇されます。

iDeCoによって得られる節税効果は、拠出時と運用時の合計で663万3,754円となりました。

iDeCoで節税効果を得る際の注意点

iDeCoはお得な制度ですが、節税効果を得る際は以下の点に注意が必要です。

掛金は原則60歳まで引き出せない

iDeCoは老後の資産形成を目的とした年金制度であるため、原則として60歳にならないと運用資産を引き出せません。節税効果を得たいからといって掛金を増やしすぎると、家計を圧迫する恐れがあります。

急にまとまったお金が必要になっても困らないように、無理のない金額で掛金を設定することが大切です。

年末調整や確定申告で忘れずに控除を受ける

iDeCoの掛金について所得控除を受けるには、年末調整や確定申告が必要です。手続きを忘れると所得控除が適用されず、節税効果を得られなくなってしまいます。

国民年金基金連合会から届く「小規模企業共済等掛金払込証明書」を使用して、年末調整や確定申告で控除を受けるのを忘れないようにしましょう。

専業主婦(夫)は所得控除の節税効果を得られない

iDeCoは専業主婦(夫)でも加入できますが、所得控除による節税効果は得られません。収入(所得)がなく、もともと所得税や住民税を納めていないからです。

運用益が非課税になるメリットは得られますが、会社員や自営業者などに比べると節税できる金額は少なくなります。

まとめ

iDeCoは「拠出時」「運用時」「受取時」の3つの税制メリットがあるため、節税効果を得ながら資産形成に取り組めます。資産運用で老後資金を準備したい人にとっては、とてもお得な制度といえるでしょう。

ただし、原則60歳まで運用資産を引き出せないため、掛金を増やしすぎると家計を圧迫する恐れがあります。節税効果や注意点を理解したうえで、iDeCoをうまく活用しましょう。

トラノコでの資産運用

iDeCoを使う税制メリットは大きいですが、毎月決まった金額を拠出する必要があること、また上記の通り、原則60歳まで運用資産を引き出すことができないなどの注意点もあります。気軽に中長期での分散投資を始めたい人には、ポイント投資やおつり投資など毎月ご自身で投資金額を決められ、出金がいつでもできるトラノコを活用するのもおすすめです。

 

 

 

 

関連記事